交渉術については、当事者双方が価値を得られるように進めていくという、win-winアプローチが有名ですが、これは当事者双方がこのアプローチに合意しないと成立しないものであるため、正直「どうかな」と思っていました。
しかし、本書では実際の交渉場面においてはwin-winアプローチを基本としつつも、交渉場面に至るまでの準備においてwin-winアプローチに如何にしてもっていくか、またwin-winアプローチに至らない場合にどうするか、にまで視野を広げて交渉を考えており、非常に理に適った、また感情面にも配慮した交渉術となっています。
本書のタイトルになっている3D(3次元)とは以下のものです。
1次元:直接の交渉場面でのwin-winアプローチ(本書では「戦術」)
2次元:直接の交渉場面で如何に交渉を進めていくかのデザイン(本書では「取引設定」)
3次元:環境分析や目標設定等の交渉戦略(本書では「セットアップ」)
すなわち、戦略を立て、デザインしてから、戦術を使って交渉を成功させる、というものです。
経営戦略では当たり前のステップを交渉に持ち込んだといってもいいでしょう。
戦略的なアプローチであるが故に、簡単に実践できるものではなく、また結構な時間を要するものでもありますので、全ての交渉において使えるものではないのでしょう。
従って、交渉で得たいものの重要性や、交渉の困難度、緊急性を踏まえてプライオリティを検討し、本書のアプローチのどこをどれだけ実践すべきかを考えてから、必要なものを選択し、集中することが求められると思います。
そうすれば、各々の交渉について、何をして何をしないかを見極めてから臨むことができますので、効果的かつ効率的な交渉が進められるでしょうし、交渉結果を振り返って成否と原因を分析し、次に活かすこともできると思います。