登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
好き嫌いの分かれる作品かもしれない,
By
レビュー対象商品: 最後の息子 (文春文庫) (文庫)
文章でビデオ日記を表現するのはめずらしく、とてもおもしろい試みで、それができる力量を持ち合わせる著者もすばらしいと思う。しかし、その内容が本の紹介文で謳われているように「爽快でキュート」なのかと言えばそうとは思えない。 映像と映像との間に心の内実を織り交ぜるも、大概のそれは彼らの日常を俯瞰視する「記録」そのものである。 それでもお勧めしたいのは、3作目の「water」である。高校水泳部のひと夏を描いた青春小説なのだが、高校生たちが活気にあふれ、いきいきと躍動する姿に懐かしさと爽やかさを感じる。 「破片」と「water」は、著者の故郷である長崎を舞台にした物語であるので、これらの作品は小説家の初期に見られるパーソナルな物語なのかもしれない。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
十代終わりの、壊れやすい日常生活を描いた三編,
By カメラ男子@二十歳 "カメラ男子@二十歳" (東京都港区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 最後の息子 (文春文庫) (文庫)
自分の日常を撮ったビデオ日記を見ながら回想する、という斬新な設定の面白い表題作は、人生にまだ色々な戸惑いを抱えた主人公「ぼく」の自己相対化プロセスを描く。ある意味、その設定によって成り立っている小説。二つ目の「破片」は、テレフォンセックスのバイトをする女と東京で同棲している兄大海と、長崎に残って家業を手伝いながら倉庫を改造して妙ちくりんな家を造り、しかも女性関係でしばしば気狂い沙汰を引き起こしてしまう弟岳志という二人の兄弟を描く。二人のどことなく狂った感じは、何かそれぞれの胸に突き刺さった破片のあることを思わせ、それが目の前で濁流に呑まれた母の死の記憶と関連しているらしいことも匂わされてはいる。しかし物語の〈語り〉は、三人称であるにもかかわらずそっと二人の兄弟のほうに寄り添っていて、温かい。彼らと、彼らを取り巻く人々と、長崎の町の空気とが、家族の懐かしいスライドのように浮かんでは消えて、印象に残る。 水泳部の高校生四人組を描いた「Water」は、ある意味では昨今の「ラノベ」の走りとも言える小説で、高校生の視線で見た「同性愛」とか「心の病気」とか、そういう道具立てをこれ以降のラノベに提供したという側面もありそう。この作家の作品としては異色だとする人も多いが、作者自身がメガホンを取って映画化もしており、吉田にとって鍵になる作品であることは間違いない。 常に一緒だった仲間達が別々の道を歩み出す時の困難、女の子を巡る微妙な状況、そしてそれぞれの家庭の問題といったものに、初めて大人として向き合わなければならなくなる年齢特有の危うさが、この作品の主題であろう。 ちなみに「ホモ」の圭一郎が読むコクトーの『白書』は、本作の発表数年前に、コクトーのポルノグラフィックなイラストをすべて収録した完全版の山上昌子訳が刊行されたもので、そのことが圭一郎のセクシュアリティの自覚に一役買っているらしいことが仄めかされている。ただ、まず地方の水泳部の高校生が自分のセクシュアリティに悩んだからといってコクトーの『白書』を読むかどうか、そして本作の読者のどれほどが果たしてこの挿絵完全収録版のことを連想できたか、そのあたりは疑問である。もっとも映画のほうではストーリーに大きな変更があり、この挿絵が一つの鍵になっているらしい。いずれ観てみたいと思う。
5つ星のうち 3.0
類まれな映像喚起力,
By
レビュー対象商品: 最後の息子 (文春文庫) (文庫)
吉田氏の最初期の3つの作品が収めれられている。小説化の作業として、吉田氏の映像シーンの構成は大変巧みであることにあらためて気づかされる。「最後の息子」では「フレンズ」という映画を引用するシーンの現実との落差によるカルカチュアの対比はみごと。また、「破片」という作品の全編に流れる会話の巧みさは素晴らしく、繰り出される会話に喚起されるように映像が再現される。長崎弁での表現というなまなましさもあるが、生きることの重さが会話文の巧みさに対比されてその相乗効果を演出する。映像作家を引き付ける所以か。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|