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最後の忠臣蔵 (角川文庫)
 
 

最後の忠臣蔵 (角川文庫) [文庫]

池宮 彰一郎
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

四十七士ただ一人の生き残り、寺坂吉右衛門の人知れぬ煩悶。
血戦の吉良屋敷を後にして高輪泉岳寺に引き揚げる途次、足軽・寺坂吉右衛門は大石内蔵助に重大な役目を与えられる。生き延びて戦さの生き証人となれ。死出の旅に向かう四十六人を後に、一人きりの逃避行が始まった。

内容(「BOOK」データベースより)

吉良邸討入から引揚げる途次、足軽・寺坂吉右衛門は大石内蔵助に、生き延びて戦さの生き証人となるよう命じられた。義に殉じる事も出来ず、世間の視線に耐えて生きる吉右衛門は、十六年の後、討入前夜に脱盟した瀬尾孫左衛門と再会する。同じ境遇にある旧友にも、実は内蔵助から密かに託された後事があった。苛酷な半生を選んだ二人の武士の信義と哀歓を描いた表題作など、連作四篇を収録。

登録情報

  • 文庫: 326ページ
  • 出版社: 角川書店 (2004/10)
  • ISBN-10: 4043687109
  • ISBN-13: 978-4043687107
  • 発売日: 2004/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「おのれはひとり生き残るのじゃ。死んではならぬ・・・」, 2005/10/7
By 
yuishi (千葉県) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: 最後の忠臣蔵 (角川文庫) (文庫)
赤穂浪士による吉良邸討ち入りに足軽身分からひとり参加した寺坂吉右衛門は、討ち入りの帰路、大石蔵之助から、脱出することを命じられた・・・。ひとり生き証人として生き抜くことを命じられた吉右衛門のその後半生を描いた連作短編。打ち入り直後、1年後、3年後、16年後を描く計4編からなる。
士分ではなく足軽という一段下の身分であることから来る差別、途中、再仕官や個人的な幸せを掴む道も有り得たにも関わらず、ひたすら孤独に使命に殉じた男の生き様を、著者は硬筆な筆致で描いていく。その厳格な描き様はなんとももどかしく、愛想のなさを通り越し、もっと報いてやってもいいのではないかと感じたほど。
最終章、吉右衛門と同様、大石蔵之助から使命を与えられ討ち入りに加わらなかった男たちの存在が明らかになっていくシーンは感動的・・。
死んでなお影響を与え続けた大石蔵之助の深慮遠謀と、一方で孤独な使命に後半生を殉じた男の生き方が印象的・・。
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ラストの十数頁がとにかく涙で霞んだ, 2010/11/1
By 
麒麟児 (東京都) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: 最後の忠臣蔵 (角川文庫) (文庫)
1702年12月15日の討入り前後、共に大石内蔵助の密命を帯びて苦難の道を歩む二人の「侍」瀬尾孫左衛門(刈屋孫兵衛)と寺坂吉右衛門の物語。確かな構想力と筆力そして豊かな想像力で、残された赤穂一党の人々のその後の人生に仮託して、人生の哀歓と人間の高貴さ、出会いと別離、侍魂と連帯の美しさなどを見事に描き切った池宮忠臣蔵の精華である。

それにしても、近衛家の家宰となった進藤源四郎(播磨守長保)の存在(104頁など)や六代将軍家宣の側室(その世子である七代家継を生んだお喜世の方)の兄分が富森助右衛門であった(177頁)という記載は、史実なのであろうか。大変興味深い。また、多くの赤穂浪人が公家侍になったのであれば、その子孫が幕末期にはどのように行動したのか(特に徳川幕府に対して)等々、興趣は尽きない。

12月18日公開の映画化も大変楽しみである。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 この傑作あってこその映画。, 2011/1/7
By 
bias - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ1000レビュアー)   
レビュー対象商品: 最後の忠臣蔵 (角川文庫) (文庫)
かつて書名が『四十七人目の浪士』だった際に新潮文庫で読んだ。
深い感銘を受けた。昨年映画化して、劇場に観に行った。
近年の時代劇映画としては、実にていねいにつくられていると感心した。
これを機に、再び本文庫で読んでみた――やはり、すばらしい。

予定調和的な美談ではなく、「討入り」直後の関係者の心情から照射し、
公儀からの咎めが及ぶことへの懸念や、厳然たる身分社会を前提にして、
まことに皮肉な視点で書き起こしたところに、池宮の真骨頂があった。

発端近く、大石の命令でせっかく「報告」に出向いた寺坂吉右衛門が、
三次浅野家の江戸屋敷で、門前払いを食わされる設定に、まずしびれる。
屋内にいて「報告」を聞きたい瑤泉院(内匠頭未亡人)に逢えないどころか、
三次浅野家の奥用人から、寺坂はけがらわしい者のように冷遇されるのだ。
足軽という身分の低さ。

かくして、大石が寺坂に命じた「報告」の旅の想像を絶する苛烈さが
想像され、陰翳が濃いであろう物語の前途に読者は引き込まれていく。

池宮の原作の素晴らしさは、こうした「残余」の苛酷さを、
美学にまで昇華して描いたこと。
一瞬の死は美しく、残余の生は厳しい。

その厳しさは、しばしば無惨で醜悪なものを招く。
だが池宮は、大石という、実在した“巨大な恒星”ながら、ある意味で
“虚構の光源”を、まことに見事に設定したのである。そして、
その光芒に照らされた最下層の浪士・寺坂や、大石家の家士である
瀬尾孫左衞門らを、まばゆいばかりに描いた。

かくして、“巨星”大石との対比の中で、
「討ち入っても切腹しなかった士」(寺坂)
「討ち入る意志をもちながら別命ゆえに叶わなかった士」(瀬尾)
が、鮮やかに浮かび上がった。
もちろん、彼らのまばゆさの裏には、漆黒の深い闇がよこたわる。

映画は、物語後半で登場する瀬尾孫左衞門と、彼に養育された
大石の遺児(おかるとの間に産まれた娘)の運命に焦点を絞り、
なかなか見事な演出だったけれど、こうして小説のほうを再読すると、
クライマックスの嫋々たる筆致、深い余韻ともども、やはり、
「原作」あっての物語、と痛感させられた。


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