筒井康隆が好きで好きでたまらない、という人には全身全霊を込めてオススメ出来るが、
筒井康隆に興味があります、って程度の人には全く持ってオススメし難い傑作集。
まず、境目は「蔓延元年のラグビー」。あまりに下らなくて爆笑しそうになる人も居れば、本気で不謹慎さを感じ全く楽しめない人も居る。
自分は前者だ。後者の方は、恐らく筒井氏のブラックユーモア作品のほとんどが受け入れられないだろう。
もうどうしようもないような内容で幕を閉じる「老境のターザン」も、面白いといえば面白い。もう本当に問題なのが「問題外科」。
読んでいて途中で嫌悪感を覚えたなら、即座に次の短編へとページを飛ばすべきだ。トラウマさえ産み付けかねない。
筒井氏のいわゆるエログロナンセンスには相当慣れてはいると豪語できるのだけれど、この作品だけは駄目でした。正真正銘の問題作。
と、極端な短編から書いたけど、「平行世界」「こぶ天才」はどんな方にもお勧め出来そうな完成度の高いSF作品として仕上がっている。
そして「ヤマザキ」は一番腹を抱えてしまった作品。生真面目に物語が進んでいるなと感じた所で、想定外のオチが突然やってくる。
また、「急流」はオチこそ呆気ないものの、「ジョジョの奇妙な冒険第六部」の「メイド・イン・ヘブン」と因果性があり二つの視点から楽しめた。
自分はスモーカーではないので、「最後の喫煙者」自体に深い感傷は抱かなかったが、どちらにせよ良い作品だらけである。その反面、「問題外科」「老境のターザン」等で嫌悪感を覚えてしまう人は少なくないかも知れない。文頭に書いたように、もっと筒井氏の短編に踏み込んでみたいと言う人にはオススメの傑作集。