☆以前からそうだったが、仲道のピアノには、外面的なフォルテシモや神経質なピアニシモは一切ない。
そういう点では、バックハウスやアラウのベートーヴェンに似ている。
☆バックハウスやアラウの旧盤は録音が古い、アラウの新盤は高齢故の指のもつれが多少気になる、と思っていた人(←私だ)には、好ましいソナタ全集が完成した。
☆全集を通して、ちょっと変わった響きやテンポだな…と思う箇所が時々あるが、諸井誠の解説を読むと納得。
楽章の構造の捉え方が違うのだ。文章自体はドライだが、発想が今時面白いと思う。楽聖に対する夢や憧れや尊敬がある。
こじつけスレスレのソナタ形式論だったり、時には過去(や未来)のソナタとの過剰な関連付けだったりもする訳だが。
たとえ思い込みであっても、こっちも一緒になって信じてみたくなる類の思い込みだ。
うんうん。諸井の解釈に沿って確信を持って弾くなら、こう弾くよなあ!…と納得出来る。
☆世の中には、解説に「三部形式」とあっても、ピアニストは「ソナタの変形」として弾いてるんじゃないか?…ってCDが結構あるので、解説と演奏のズレに余計な気を回さなくて済むこの全集の完成は、これからピアノ曲を聴き始めようとする人にも朗報だろう。
☆さて。日本人女性の弾いた最後の3大ソナタ…ということで、どうしても昨年(2006年)に発売された内田光子盤と比較してしまうから、★4つになってしまいます。ごめんなさい!
☆内田と比べると、仲道には峻厳さが足りないのと、リズムが鈍い(32番第2楽章第2・第3変奏では致命的)ので…。
☆ただし第31番だけを聴くならば、仲道の方が優しさに溢れていて、ほっとしますね♪