大の広島カープファンである私は、津田投手の投げる姿をテレビに放映しなくなったことに不思議を抱いていた。そして、それは暫くの間に忘れていた。ところが、平成5年7月頃だっただろうか、新聞を手にした時に目にした記事は「津田投手 死去」と全国面に小さく書かれたものだった。「嘘だろう」との頭がよぎり、何もかもが信じられなくなっていた。翌年、NHK特集で「もう一度、投げたかった」と題した番組を目にし、涙が溢れんばかりにこぼれた。その時の奥さんは手記を書いている真っ最中で、いつ発売されるのかを気にしていた。発売されてることを知ったのは、民放の「知ってるつもり?!」で、津田投手の人生に迫ったものだった。即座に図書館に行き、借りてみた際は何も感じられなかった。改めて購入し、読んでいくうちに、生きることへの執念を思い知らされた。マウンド上でしか知らなかった津田投手の素顔は想像出来ないものだったが、「何が何でも復帰したい」そういった思いが、生きようとする力に繋がったのだろう。
結果的には再発し、二度と奇跡は起こらなかったものの、生きることの素晴らしさを改めて教えてくれた本だと言える。