ダッカル次元の航行機器ベラグスコルスの調整に苦慮するテラナーの試練と遂に現われた不気味な第七の公会議種族コルトン人との対決を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第372巻。本巻の執筆者は執筆当時の活きの良い若手クナイフェルとフランシスです。早い段階で魔法の機械ベラグスコルスを奪取してこれでローダンの故郷銀河への帰還も楽勝かと思わせて、実際はそうは問屋がおろさず逆に地獄の様な試練を与えて苦労させるのが(テラナーには真に気の毒ですが)如何にもシリーズらしい面白さだと思います。
『次元地獄』ハンス・クナイフェル著:ケロスカーの計算者ドブラクが進めるベラグスコルスの調整途中に、突然作業に携わる科学者が拿捕したツグマーコン艦が溶解する地獄の様な異常事態が現出する。本編はタイトル通りの地獄絵図に戦慄させられる怪奇編ですが、主役を務めるソルの乗員オディのペットのトビネズミ‘ディッポ’の口汚いけれど愛嬌者の元気さに救われます。『最後のコルトン人』H・G・フランシス著:突然グッキーが硬直し脳の活動が停止する異変に見舞われる。やがて恐るべき非物質的な生命体で第七の公会議種族コルトン人‘ヴォイロクロン’と対話している事情が明らかになる。本編では冒頭から非常に難解なSF的表現や用語が奔流の様に出て来て(ちなみにワイとは関西弁の私の意味でなく異人の位です)戸惑いますが、シリーズに鍛えられたお陰でしょうか結局は完璧に理解出来てしまえるのに驚きました。不滅で最強の敵の出現に今回は大丈夫だろうかと心配していたら意外にも・・・・でも、見事に良く出来たSF的仕掛けの結末には流石と唸らされました。
本巻の翻訳者、嶋田洋一氏のあとがきは心洗われる望郷の想いと幼少の記憶のお話です。本書を読んでこんなにも長年に渡り高品質を維持し続けている事実に驚かされ、本当にローダンは不滅だなあと改めて実感しました。