◆本書はタイトル通り、デジタル的な麻雀の打ち方を習得するためのものだが、
決してアナログを否定するものではなく、ある局面に限って切り取ってみると
デジタルがアナログに勝てない時もあると著者の小倉は認めているように私には思えた。
これは麻雀をある程度やったことのある人間ならば想像がつくことだが、
二者択一の場面で、どちらの牌を切っても牌効率的には全く一緒といった場面で
デジタルは指針をプレイヤーに与えることができないという面において弱い。
いわゆる俗にいう「流れを読む」アナログ的な本の多くは、そういった場面で裏目を引く可能性が
低くなると考えられるような打牌の指針(極端な例を言えば、さっき上がった一索を止め置くなど。)を与える。
しかし、そのアナログ的な指針に常に従ったからと言って裏目を引かなくなるわけでもない。
デジタルでもアナログでも麻雀を完璧にミスなく打つことはできないことは言うまでもない。
おそらく、これから麻雀が研究されていくとすれば、デジタルとアナログのそれぞれの良い所の取捨選択になっていくのだろう。
そういった意味で片端のデジタル側から、こう言った本が出ることはとても意義深い。
◆麻雀を覚えたての初級者が本書を読んで全て理解できるかどうかについては人それぞれと言わざるをえないが、
明快な指針が与えられ、かつその指針の理由がわかりやすく提示されている点において万人に薦められる本である。
「麻雀の本で何か良い本ある?」と誰かに聞かれたら、私は迷うことなくこの本をリストの中に掲げる。
ある程度、自分の中でプレイスタイルが固まってきてしまって、煮詰まっている中級者にとっても、
指針を取り入れるか取り入れないかは別としても新しい視点を投げかけてくれる良い本だと思われる。
◆最後に、上記のように絶賛しているレビューにもかかわらず、星を4つにした理由を述べたい。
まず、この本の元ネタの多くはとつげき東北の
科学する麻雀 (講談社現代新書)及び
おしえて!科学する麻雀に載っているものである。
とつげき東北はデジタル麻雀を少しでもつまんだ人ならば誰もが知っているデジタルのさきがけであり、
上記2冊の本はデジタル麻雀にとっての一つのメルクマールといって過言ではない。
私はとつげき東北の著書から一切引用するななどとは考えないし、言う権利も持ち合わせていない。
しかし、ほぼマルッと引用している箇所が散見されるにもかかわらず、一言も引用元としてとつげき東北の名前を挙げないのはいかがなものだろうか。
先駆者への誠意や敬意が感じられない点において、星を減点1とすることにした。
◆とは言え、このことがこの本の内容の価値を貶めるものでは、もちろん無い。
興味のある方は一読して損はないはずである。