2008年に出版された『Technology Ventures, From Idea to Enterprise』第二版の待望の日本語版。世界の「標準的教科書」となっているビジネスの実践書である。新しい会社を起業することだけでなく、企業のなかで新しいビジネスを事業化するときに役に立つ内容に溢れ、事業計画書(ビジネスプラン)を書き上げることを目的としている。原書の補遺に書かれる事例は省略されているが、600頁の大作となっている。事業機会の見極め、競合優位の確立、戦略作成、イノベーション戦略、リスクの分析、独立系ベンチャーと企業ベンチャーの違い、企業のオ知的財産の取り扱い、法律上の課題、マーケティングと販売計画、企業組織、買収戦略、経営、グローバルビジネス、収益計画、財務計画、資金調達、計画の発表とプレゼンテーション、事業計画の執行まで、詳細に解説している。章を読み進みながら事業計画を展開することができるように書かれている。各章のテーマに関連した課題を、実際に存在する(存在した)企業の事例で解説しており説得力がある。企業事例のコラムを読むだけでも楽しめる。FedExを創業したフレッド・スミスが、FedExの基本プラン(オーバーナイトデリバリー)をエール大学の教授に論文として提出したとき、評価が「C」であったとか、アップルの iPod 事業を成功に導いたのはiTunesであったとか、サウスウエスト航空のプランはカクテルのナプキンに書かれた三角形であったとか、、、話題は豊富である。テクノロジーベンチャーというから、技術系産業に焦点をあてたものかと思いきや、ウォルマートやスターバックス、イケヤ、ZARAも事例をもって解説している。「イノベーターのジレンマ」、「キャズム」などの視点からの考察も含まれている。起業を目指す人だけでなく、企業で働くすべての人びとに役に立つ内容である。