監督のフラーが自らの従軍体験に基づき思い入れたっぷりに撮っただけあって、低予算の"B級戦争映画"に見えながら、それを感じさせない何倍ものスケールの大作にも見え("ノルマンディー上陸戦"で水際で釘付けになっている米軍の描写など「プライベート・ライアン」を凌いでいるかも…)、挿入されるエピソードの一つ一つがこれまた真に迫っていて深い感動が残り、実は中々の見応えある作品になっています…
軍服や個人携行の兵器、"ノルマンディー上陸戦"におけるM1A1バンガロール爆薬筒などの考証は見事だが、低予算のため流石に戦車までは手が回らず、"北アフリカ"や"イタリア戦線"シーンでは、ロケ地(イスラエル)で手配したイスラエル軍仕様のM51スーパー・シャーマンが独軍戦車(たぶん"ティーガー"として…)に扮していたのが残念といえば残念… うぅん、キューポラ上の戦車長も何故かしっかりとイスラエル軍用のヘルメットを被っていますねぇ、そうかと思えばアメリカ国内ロケ"バルジの戦い"シーンでは、シャーマン(…こちらはキング・ティーガーとして登場したんでしょうけど)戦車には眼をつぶるとしても、とりあえず独軍の戦車長は黒の機甲兵ユニフォームをちゃんと着用していたのにね…
とにかく渋いリー・マービン軍曹と若き4人の兵士の戦争体験が、実際の米陸軍第1歩兵師団"ビッグ・レッド・ワン"の北アフリカからシシリー、ノルマンディー、ベルギー、ドイツ、チェコと戦闘時系列に添って描かれていくさまは、米陸軍空挺師団を描いた傑作「バンド・オブ・ブラザース」を観ているようでもあり、悲惨な戦場にありながら屈託の無い若き陸軍兵士の姿はマイケル・ケイトン=ジョーンズの「メンフィス・ベル」のB17爆撃機搭乗員達を観ているようでもあり、リアルなエピソードの積み重ねはロッセリーニの「戦火のかなた」を観ているようでもあります…
1980年当時の製作会社の都合で、戦時下の人間ドラマとして色々な要素の詰まった素材が大幅にカットされてしまい、単純な"戦争アクション映画"として纏められて発表された"劇場公開版"は、残念ながらフラーが作品に込めた本来の意図とは相当かけ離れていた作品になっていたようですね… 後年(2004年)製作された"リコンストラクション版"を観ないと彼の真意が充分には理解できないと思うので、是非そちらも観賞する事を御勧めします…