ジュンク堂が池袋に開店して以来、つまり、東京に進出して以来のベテラン店員が、Web に連載していたエッセイをまとめた本だ。
週に3回以上書店に行く本の虫としては、反対側から見た書店というのはなかなか面白かった。特に、有為の書店員の棚へのこだわりは、普段感じていた、本の選びやすい書店と選びにくい書店の違いがこのように生じるのか見えて興味深かった。
ただ、私にとっては、内容が面白い割に、引っかかるところの多い本でもあった。一点目は文章のところどころに、東京で生まれ育った人にしばしばある、地方に対する無理解 (蔑視とまでは言いません) を感じたことだ。まあ、私は大阪生まれだから、大阪は好きになれないと、もろ書かれると、多少おだやかでないものもあります。でも、それだけでなく、地方の書店などが話題に出るたびに、なんとなく、東京からの視点が感じられるのであります。
もう一点は、再販制度維持を強く訴えていること。いえ、それだけならいいのだが、著者が述べている書籍流通に関する不満のかなりの部分は、再販制度によって守られている業界であるがゆえの合理化の遅れ、ないしは、競争の欠如が原因と思える。再販制度を守れという主張も、さほど検討されることもなく、ドグマティックで、説得するつもりもなさそうだ。ちょっと、世界が狭いように思う。(ドグマティックは紛争世代の特徴?)
と、不満を述べたが、まあ、ブログをまとめたような本なのだから、ちょっと、高望みなのだろう。全体としては、本好きの人にはお薦めだ。