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41 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
若い内に読んでおきたい。,
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レビュー対象商品: 書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫) (文庫)
思っていたほどハード・コアじゃなかったので拍子抜けしたというのはアル。たしかにこれは常識があってこそ成立する非常識というやつで、「白か黒かのチョイスなら、間違いなく黒を選べっ!」みたいなね、いかにも本筋は物書きっぽい切り口だと思ったが、僕が感動したのはそういった寺山氏の理屈じゃなくって、彼の世界観である。たとえば、ただ酒に溺れて、女に逃げられて、博打ですって、殴り合いして傷だらけになって、「へっ、これぞまさに人生さ」という程度の内容ならそれこそ笑い話にもならないが、この人の場合はそこに競馬や、長距離トラックや、サッカーや、拳銃や、魔術系美術や、定型っぽさの欠片もない下品な詩やらが絡んでくるから、話が絶望やミジメさに終着しない。どこかいつも進行形で、希望じゃないけど明るさはあるのだ。 自殺を勧めたかと思えば、「この世が辛いからという理由で逃げるようにする自殺は最悪だ」とか、「この世がバカらしいから死ぬというような自殺はこれまたダサい」といったようなことを言い放ち、自殺は物理的にも精神的にもなに不住なく、なおかつ驚異的な頭脳を有した人間にのみ許される至高のエンターテイメントなのだと説き、トラックにひかれた片目の競馬狂の弔い合戦に競馬場に行き、片目の不住な馬に有り金はたいたりというヘンテコだけどなんか分かるような人生美学。 蔵書を全て売り払って、町へ出て遊郭と博徒の世界を乱歩して、結局文学に戻ってきた奇妙な作家の不可思議なエッセイ集。最終的に言っていることも決してそれほど非道徳的ではなく、まぁたしかに一理あるよねという感想をつい持ってしまう内容なのです。個人的には全然好きな作家のタイプではないが、ガンジガラメの文学界において、ヘンなことを言い続けた功績は評価したい。とくにハイティーンズ傑作詩集選はズバ抜けた詩集っぷりです。 ちなみにパーキングエリアでの長距離トラックの運ちゃんのちょっとした人生紹介なぞはとっても素敵でした。全体としてはそんなに高い評価ではありませんが、部分々々はかなりイケてると思いました。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
いまだ生きている文学作品,
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レビュー対象商品: 書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫) (文庫)
タイトルだけだとなんだかアジいっぱいの危険な書物としてとらえられそうであるが、読んでみて、そんなものではなく、虚実おりまじえたと言うか世間離れしたエッセイ集という感じがした。懐かしの高度経済成長期の読み物である。昭和のにおいがぷんぷんする。今や平成の世であり、親子が、級友同士が殺しあう世の中である。とてもこんな悠長なエッセイがそのまま通じるわけがない。いや、この本に限らず寺山修司なんて批判しようと思えばいくらでも出来るのかもしれない。 それでも、この本は一度は読んでおくべき一冊と思った。薄ぎたなくても、クソがつくくらいしぶとく生きていこうと言う意思がここにある。そして、そういう意思は、今もというか今だからこそなくしてはならないのだと思う。 いまだどっこい生きているいますよ、と語りかけてくる一冊である。
8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
自由奔放に見えながら、郷愁溢れる作品,
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レビュー対象商品: 書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫) (文庫)
寺山氏の名を世に知らしめた出世作で、安保闘争に敗れて方向性を見失った当時の若者にはバイブルのようにして読まれた。今回は再読だが、記憶に残る過激性とは裏腹に普遍的な感慨を覚えた。基本的には、正義・家・社会・小市民的感覚・性的タブーと言った既成概念を唾棄し、若者が持つ原初的パワーと行動力で現状を打破せよ、と言う主張であり、現在でも通用するものである。と言うか、時代は変っても世相は変らないという証左であり、作中の「1960年代は少年犯罪が増えている」との言葉には薄気味悪いものさえ感じる。著者は特に速度と明快さを重視しているようで、野球よりサッカー(=大きなタマ)を愛好している。ストリッパー、トラックの運転手、パチプロと言った庶民の視点で物事を論じているのも著者らしい。そこには虚飾はなく、ただ現実があるのみである。勝負事に勝つためには「不幸」を背負う事が重要、「賭博=一点豪華主義」と主張しているのもその延長。 議論のモデルとして、月光仮面、怪人二十面相、沓掛時次郎、杉山等が出てくるのも懐かしい。一見自由奔放に見えながら、社会の弱者に優しい眼差しを向けた人懐こしさを感じさせる郷愁溢れる作品。
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