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書く―言葉・文字・書 (中公新書 2020)
 
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書く―言葉・文字・書 (中公新書 2020) [新書]

石川 九楊
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

筆先が紙に触れ、書ができていく。そこに書かれているのは、言葉であり、文字である。文字は単に点と線からなる図形ではなく、筆と紙の接点に生じる力―筆蝕―のダイナミックな現れなのだ。書は、できあがったかたちではなく、その過程を鑑賞する芸術ともいえる。一点、一画が部首を生み出し、文字をつくり、文へと展開する文学なのである。言葉と文字と書の関係を追究し、書の底知れない深みに迫るスリリングな書論・文化論。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

石川 九楊
1945年、福井県に生まれる。京都大学法学部卒業。書家。現在、京都精華大学教授。著書『書の終焉―近代書史論』(同朋社出版、サントリー学芸賞受賞)、『日本書史』(名古屋大学出版会、毎日出版文化賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 189ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2009/09)
  • ISBN-10: 4121020200
  • ISBN-13: 978-4121020208
  • 発売日: 2009/09
  • 商品の寸法: 16.8 x 11 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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By ビブリオン トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
職場の書類は全てデジタル。家庭でも、老いた両親にさえメイルで会話。下手な手書きに代わって、綺麗なPCフォントで、手軽に書けるのですから、誰でもデジタルに靡きます。そんな時代でも、何故か毛筆で書く「書」が気になります。失われてゆく伝統技芸への郷愁でしょうか。せめて字ぐらい綺麗に書く技を習って、自分流の書を見せたいためでしょうか。そのように、書は、そもそも字を美しく見せる技術(テクネー)なのか。あるいは技術よりも広い人間の本質的な表現活動なのか。そんな根本的な問が本書の主題です。

論の進め方は、先ず「書とは、××である」という命題を提示して、演繹的に筋を運んでいます。そのため切り口上に聞こえます。その上に、新たに着目した現象を特色付ける為に馴染みのない言葉が使われます。また多義的な言葉を頼りに、現象の違う局面を露にして論を広げているので、単なるレトリック風な言葉の羅列に見られます。おまけにワープロ変換への反対も言及されています。一見して取り付きにくく、敬遠されそうです。

本書では、文を書くという行為が、生成する時間的経過に沿って、独立した細かな要素に、分析されています。そこから書の根底を、なまの触覚にまで戻って考えています。具体的で刺激的です。さらに個人心理的過程の分析だけでなく、楷書の書体史上の意味など歴史的過程の分析もされています。独創的です。それらを単に理屈だけでなく、中国や日本の有名な書の実例を示しながら、丁寧に解説していて誰でも理解できます。当初は唐突に思われますが、読み終わると、「書とは逆から読まれた文学、ネガの文学である」という著者の命題が、無理なく納得できます。抽象的な命題部分にひるまずに懐に入る気持で、説明部分に飛び込めば、現実感が濃い誰にでも判る具体的な世界に入ることができます。書の本質論だけではなく、書の本来の見方も教えてくれます。目から鱗が落ちます。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
石川九楊には同工異曲(に見える)の啓蒙書も多いが、その主張が一見反時代的と捉えられかねないゆえに、この実はラディカルな主張を広く訴えかけるためには、こうした刊行も十二分に意味のあることである。評者は石川の本を読むたびに唸らされること一再ではない。
「ラディカル」という語は、昨今いささか曖昧なものとなってしまっているが、冗談ではなく石川の問いが人間存在と思想にとって最も根源的(ラディカル)なものであることは、本書の緒言を一読すれば明らかではないだろうか。

まあ評者のゴタクはともあれ、本書の19ページから21ページにある書の「永字八法」の記述を読むだけでも本書を披く価値はあろう。これは「永」の字の八画の書字のそれぞれに書の基本が尽くされているというものである。「永」の字は書聖・王羲之の『蘭亭序』冒頭の字であるという。

平易で衒いのない文体ではあるが(“怒り”は散見される)、マテリアルな議論が人間精神と自然の悠久の連関に達するような、畏怖さえ抱かせる文章である。
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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By チャックモール トップ500レビュアー
形式:新書
「書く」ということが、(キーボードを)「打つ」ということとほぼ同義になりつつある現在に警鐘を鳴らすがごとく、一文字一文字、一画一画、一瞬一瞬と、手を使って文字を書くということを、ひたすら深掘りしたのが本書。
もはや「書の哲学」と言っていいほどの内容。
すごい本です。

「文字を彫るということは、地球を傷つけるという原罪」
「縦に文字が書かれるのは、そこに重力があるから」

・・・こんな、今まで考えたこともなかったような「書」についてのスリリングな論が、大げさでなく2、3ページに一つはあるという印象だ。

といっても、まったくもって堅苦しいというわけでもない。
「字は整いすぎていてもよくない」ことを挙げるのになぜかマー君とダルビッシュの例を挙げたり(先生、野球がお好きなんですね)、あるいは最近活躍している現代風の書道家に対してのコメントになると、なんだか急に大人気ないコメントになったり・・・。
決して、書を知らなければ読みこなせない、というものではない。

それにしても、これを読んでしまうと、今こうしてワープロで文章を書いていることがなんとも軽々しい行為に思えてしまう。
読んだ後、ふと自分自身の手を使って字を書き、それをしみじみと眺めてみたくなる一冊です。
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