何に感動したかって、この作品の初出が1962年であることです。女性の「仕事」を「道楽」・「趣味」で片付けようとする風潮を克服しようとする女性を、現代に置き換えても不自然ではない程に描けているのがスゴイ。
更紗夫人である美女未亡人・紀代が、人間的に一皮剥けていく過程が描かれています。彼女自身気が付いていなかったものの、道楽に等しかった更紗染めを「仕事」の域に高め、職人として、経営者として自立していくまでの物語。
その過程で、丸尾信哉と岩永英生の愛を失いますが、それを踏み台にしていく紀代には、かつての他人任せな姿はありません。そして、何と言っても素敵な脇役が宮田のり子です。彼女がうまく露出することで、紀代の自立を促していきます。ラストの2人は、自立して生きていく予感を感じさせます。きっと素敵な「仕事」をしていくのだろうと希望があります。
一方、「アプレ」な筈の靖子が結婚で仕事を辞めるのは、当時それが普通だったんだろうかと考えます。職種で女性を差別する岩永のような人間は、現在でも存在するでしょう。多彩な人物設定が、物語に深みを持たせています。
ひとつ、信哉がどうしてあの選択をしたのか、納得できかねるところがあります・・・。