2006年度のミステリーの傑作短編が揃っています。
このところ前後期に分けての出版となっているので、手頃な厚さで読みやすくなっています。
今回の七編の中で私の一番のお気に入りは、デビュー当時から読んできている連城三紀彦の「白雨」です。
「推理小説」の真髄を感じさせてくれながら、男女の心の機微を絶妙の筆致で描き出しています。
読んでいると、すぐにこの連城ワールドに引き込まれてしまう、そんな素晴らしい作品です。
ちょっと変わった視点と言うか、あっと思わせる作品としては、平山夢明の「独白するユニバーサル横メルカトル」があります。
この作品は、地図帳を語り手にした予想外の作品で、内容的にも凝った作りになっています。
個人的に可愛い作品で良いなあと思ったのは、石持浅海の「Rのつく月には気をつけよう」と言う作品で、カキパーティにおける食中毒の陰に隠された意外な真実を扱っています。
複雑な女ごころが描かれており、なかなか良いです。
その他、「マザー、ロックンロール、ファーザー」(古川日出男)、「糸織草子」(森谷明子)、「克美さんがいる」(あせごのまん)、「流れ星のつくり方」(道尾秀介)の四編が収められていますが、どれも粒ぞろいのいい作品です。