商品の説明
論旨は完全にこなれていないし、表面をなぞっただけに思える分析も散見される。しかしそれ以上に若々しいエネルギーにあふれた、意欲的なインターネット論だ。著者は先鋭的な発言を続ける社会学者の宮台真司氏に大学院で学んだことがあるミュージシャンでありWebデザイナーでもあるという変わり種。前号で紹介した「ネクスト」(マイケル・ルイス著、アスペクト刊)が具体的な事例を通じてネットの影響に迫るジャーナリズム的手法を駆使しているのに対して、本書は社会学の分析手法を使ってインターネットが社会に与える影響を考察している。
全体は「ネット」「ネット内に形成される『出会い系サイト』のような個々の領域(ドメイン)」「ネットで展開されるコミュニティ」をそれぞれ扱った3部に分かれている。特に第2部と第3部では「オンラインショッピングにおける信用は個々の店にではなくシステムにある」「引きこもりはコミュニケーション不足なのではなくネットでのコミュニケーション過剰」「ネット・コミュニケーションを規定するのは、回線容量やサーバーの速度といったコミュニケーションのための資源である」「ネットコミュニティは私的なままで公的に開かれた場だ」――などなど刺激的な言説が続出する。先鋭的なだけに違和感を感じる人も多いだろう。しかしそれ以上に、著者がインターネットの現場を理解するための核となる考え方を提示したことを評価したい。本書を読んだ者は著者に賛同するにせよ反対するにせよ、さらなる先を自分で考える方向に誘導される。自分の頭を使ってインターネットと社会の在り方について考えようという意欲のある人に、お薦めできる一冊である。
(ノンフィクションライター 松浦晋也)
(日経パソコン 2002/10/28 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
内容(「BOOK」データベースより)
内容(「MARC」データベースより)
出版社 イースト・プレス
著者は社会システム理論を専攻する若手気鋭の社会学者で、宮台真司氏の公式ウェブサイト「MIYADAI.com」の管理人charlieとしてネットではよく知られた存在。
本書では、ネットカルチャーと社会学理論を自在に往還しつつ、”出会い系”や”2ちゃんねる”など、ますます過激化し、混沌とするネット社会の現象を鋭く解読しています。
「興味深いのは、当事者である若い人たちが『ネット世界だからこそ、リアル世界の流動性に対抗できる』と証言することだ。初めて聞いたとき私は混乱した。なぜならば、冒頭に述べたネット世界における公共性の困難をめぐる定説と、矛盾するように感じたからだ。しかし、詳しく分析してみると、一貫した理路が見えてくる」(宮台真司・本書解説より)
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
1976年福岡県生まれ。東京都立大学大学院博士課程在学中。専攻は理論社会学。社会学者・宮台真司のオフィシャルウェブサイト「MIYADAI.com」の管理人“charlie”としてネットの中ではよく知られた存在。同サイトの運営にあたりながら、自身もネットや雑誌などに多数の原稿を執筆している。ネットカルチャーと社会学理論を自在に往還しつつ、「人と人との関係」によって生じる様々な社会現象を分析する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)