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暴力団追放を疑え (ちくま文庫)
 
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暴力団追放を疑え (ちくま文庫) [文庫]

宮崎 学
5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

峻烈さを増す暴力団排除の動き。今や銀行口座開設、不動産契約からも、暴力団関係者は除外されつつある。しかし、ヤクザの実態が正しく伝わらないなかで、異論を挟むことも許さない排除運動は何をもたらすのだろうか?アウトロー史観ともいうべき独自の視点を持つ著者が、近年の暴力団追放の風潮の裏に潜む、警察利権の問題、管理型社会の進行に警鐘を鳴らす。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

宮崎 学
1945年京都生まれ。父は伏見のヤクザの親分だった。早稲田大学中退。在学中は日本共産党系の学生運動に参加。ゲバルト部隊の最先頭で対立党派との衝突をくりひろげる。その後は週刊誌記者や実家の稼業である建築解体業などにたずさわる。それらの体験を描いたデビュー作『突破者』がベストセラーとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 189ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2011/1/8)
  • ISBN-10: 4480427848
  • ISBN-13: 978-4480427847
  • 発売日: 2011/1/8
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 0.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By ふんふん トップ100レビュアー
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 本書の趣旨は簡単にいうと、「暴力団追放」という綺麗事が、日本の社会を良くするどころか、逆に地獄へと導く恐れがあるという話である。ただし著者(ちなみに父親がヤクザ)は、ヤクザは偉いとか立派だとか言っているわけではない。

 警察がいなくなって世の中にヤクザだけが残ると大変なのは当たり前だが、逆にヤクザ組織を撲滅したところで別にクリーンな世の中が実現するわけではなく、より厄介な問題が出てくるだけだというのが著者の結論である。私なりに本書の論点を要約すると、「暴力団追放」という綺麗事に邁進してヤクザ組織の「存在」そのものを非合法化すると、3つの変化が起きると著者は言っている。
 (1) ヤクザが収益を上げてきた闇のマーケットが、綺麗サッパリなくなるのではなく、警察の利権になって警察がヤクザ化するということ。これは風俗やパチンコの経営の世界ですでに生じている。許認可権を握って業者と癒着するわけだ。
 (2) ヤクザが「地下化」「マフィア化」を進め、実態が把握困難になり、犯罪の手口が巧妙になる。さらには、既に合法的に「表の社会」に入り込んでいて、たとえばベンチャーキャピタルへの出資で儲けたりしており、取り締まりや監視がかえって難しくなっていく。
 (3) そして一番ヤバイのが、今までは和製ヤクザが抑え込んでいた外国由来の不良集団(中国マフィアなど)が日本での勢力を拡大する。海外の犯罪集団は、日本のヤクザなどとは犯罪レベルが違っていて、義理人情どころか本当に血も涙もないというのはよく知られた話だ。そうなると治安悪化は取り返しの付かないレベルになることもあり得る。
 (1)は見方の問題という気もするが、(2)や(3)はありそうな話である。

 著者は、暴対法や暴対条例を厳しく批判しているのだが、その理由は、ヤクザが悪いことをしたら取り締まるのはけっこうだが、悪いことをしそうな奴らが単に集まっているだけで取り締まりの対象とし、組織そのものを殲滅しようというのは不当であるということだ。
 これは、結社の存在そのものを認めないのは憲法違反だという理屈もあって、実際、山口組をはじめとするヤクザ組織は暴対法については違憲訴訟を起こしたらしい(もちろん負ける覚悟で)。またそれに加えて、ヤクザというのは何の理由もなくただ犯罪のためだけに生まれてきた組織ではなく、もともとは「差別」や「貧困」といった由来を持った一つの社会階層だし、戦後は外国人の犯罪者集団や左翼過激派にヤクザが睨みをきかせて、警察をサポートしてきたという実績もあるのに、そうした歴史を「なかったこと」にして、ヤクザに「暴力団」という名をつけ、社会の目の敵にするのは不当ではないかということである。(ちなみに今もヤクザのほとんどは被差別部落出身者や在日の人たちだし、山口組というのはもともと港湾労働者の自治組織である。)

 とても薄い本だが、さすがヤクザ本を書きまくっている著者だけあって、ヤクザの歴史にも触れ、実際に山口組や会津小鉄の組長・会長の言も引用し、警察の「利権」を告発するなど論点は盛りだくさんだ。
 日本人の多くはナイーブな潔癖主義者で、犯罪のような汚いもの「だけ」を上手く取り除くことができると思い込んでいる。そういう人は本書を読んでも「悪いものは悪い。犯罪者を美化するな!」の一点張りで怒り狂うだけだから読まないほうがいいだろう。逆に、人間社会はそんな単純なものではないのだということを理解しようと思える人にとっては、なかなか面白い本だと思う。
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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 倒錯委員長 トップ500レビュアー
自身の父もヤクザだったという異色のジャーナリスト宮崎学による新刊。本書は、91年の通称「暴排法」成立に始まる、警察による暴力団をはじめとした反社会的勢力の排除が、権力側にとっての新たな利権構造を生み出し、またそれまでヤクザが担っていた地域の治安は悪化し、かえって日本は悪い方向に向かっていくだろうという、ある意味では暗い未来予測の書といえる。

ものごとは得てして偶然にもつりあっている天秤のような側面がある。邪魔に見える片一方を取り除いたら、バランスがとれなくなって破綻するということもあるのだ。権力側が、暴力団=悪であり積極的に排除に向かったことが、社会の他の部分にほころびを生みだし始めているということを本書は明かしていく。

これまでの氏の著作と重複する箇所もあるが、本書のアップデートは、昨年から今年にかけ大きく取りざたされている大相撲問題だろう。前近代的な側面を温存したままここまでやってきた相撲に、ここにきて掌を返したかのように現代の論理によってバッシングが浴びせられる背景には、著者があかすように原理主義的な法令順守と、ヤクザ=反社会的勢力が絶対悪であるという社会の風潮が透けて見える。

今や警察=聖でヤクザ=邪といったあまりにもわかりやすい二元論は、もはや信じることができないだろう。戦前にまでさかのぼり、被差別者のよりそう互助グループとしての側面もあったヤクザが、実は権力側と真っ向から対立していたようで後ろ手では手をつなぎ合って、日本社会の安定に与していた「持ちつ持たれつ」の関係にあったと著者は付け加える。「正義」ならば正しいわけではない。汚いものや邪悪なものは、僕らにとってまったくの他者ではなく、往々にして自分の鏡像のようなものであることがある。そこに映った自分の似姿から、目を逸らすか真っ直ぐに視線を返すか、それで人間の度量が決まると思うのだがどうだろうか。
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11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
著者の反権力的な思想は理解できるが、単に自らの思想信条に基づいて推測に基づいてまとまりなく書かれているもので、正直に言うと「批評にも値しない」本である。
暴力団ら反社会的勢力の存在は、マイノリティに対する社会的な差別と分けて論じることはできないという点では賛同できるが、社会的な差別を解消していくための施策と暴力団規制は決して両立しないものではない。著者は、暴力団対策をかかげる権力側(警察、これに与する弁護士も含む)の「隠れた意図」の存在を力説するが、だから暴力団規制に合理性がないということには決してならないであろう。
著者は、「国家権力=正義」という偏った考えに警鐘を鳴らしたいるのであろうが、著者は逆に「国家権力=悪」という考えに極端に偏っている印象が強い。
そもそも、このような本を出すのであれば、もう少し実態を調査し、地に足をつけた批判をするべきである。世には、警察白書などをはじめ暴力団の実態に関する情報はいくらでもある。そのような反社会的勢力による被害の実態をよく調べてから発表してほしい。
著者は随所に「暴力団肯定論者ではない」と前置きしているが、暴力団=任侠集団などという古い頭で書いていることは読んでいればわかる。
暴力団追放に対して異を唱え、いろいろな角度からこの問題に関する議論を深めていくことには意味があるであろうが、それにしてはこの本はあまりに調査不足で、内容も稚拙というほかない。
こんな考えの人もいるのだという興味本位で読まれるならいいであろうが、まともな「批判」にはなっていないので、まともにこの問題を考えるにはお勧めできない。
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