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暴力はどこからきたか―人間性の起源を探る (NHKブックス)
 
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暴力はどこからきたか―人間性の起源を探る (NHKブックス) [単行本]

山極 寿一
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,019 通常配送無料 詳細
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

私たちはどのようなサルなのか?

霊長類の争いと共存の姿に迫る。

内容(「BOOK」データベースより)

私たち人類は、争いの火種もその解消の術も、霊長類として進化する中で獲得してきた。六五〇〇万年前にこの地上に登場した霊長類。彼らは“食”と“性”をめぐる争いを、それぞれの社会性をもって回避してきたのだ。それを受け継ぐ人類は、家族という独自の社会を得るに至る。屋久島のニホンザルやコンゴ民主共和国のゴリラをはじめ、世界中の霊長類の姿を最新の研究成果から明らかにし、人類の社会性の起源に迫る。

登録情報

  • 単行本: 244ページ
  • 出版社: 日本放送出版協会 (2007/12)
  • ISBN-10: 4140910992
  • ISBN-13: 978-4140910993
  • 発売日: 2007/12
  • 商品の寸法: 18.2 x 13 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
過日、NHKの番組で、著者の山極寿一がかつてフィールドワークを行なったマウンテンゴリラのいるルワンダを20数年ぶりに再訪する番組を観た。これは感動的なものであり、ゴリラの生態と彼の地の戦争状態の不幸が密接につながっていることをわからせてくれた。こういう番組をやるのであれば喜んで料金を支払えるというものだ。ポアンカレ予想を解いたペレルマンの番組以来の感動であった。

20数年前に出会った6歳のオスゴリラは、いまやシルバーバックとして群れを率いるボスとなっていたが、彼は山極を明らかに覚えており、再会の場では山極から視線を離さない。何ということだろうか! 言葉を失ってしまった。

山極は、今西錦司、伊谷純一郎、河合雅雄らの京大の世界的な霊長類研究の伝統を継ぐ学者であると知っていたが、今回初めてその著書を読んだ。
今西の動物社会学的な仕事には、あまりにも人間社会と動物社会を直結させすぎるという気がして、ほんまかいなという感想を持っていた。
現在、その研究の成果はどのようなものとして認識されているのだろうか。その一端は本書にも見えるが、ゴリラ社会がゴリラの群れの原理を変えてしまい、それによって必然的にゴリラ個々の在り様を変えていくという当然の成り行きについて、そしてその研究が少なからず人間を照らし出すということが本書によってよくわかると思われる。

熟読に価する1冊だ。
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
世界中で起きているテロを含む戦争行為を憂う著者が、霊長類学者の立場から、「人間の暴力性の起源」を論じた本。

第一章では霊長類観の歴史を丹念に辿り、ゴリラを初めとする霊長類が決して好戦的ではない事を示す。"食と性"のために巧みに共存しているのだ。第二章では、その背景として植物の進化(被子植物の繁栄)と霊長類の社会性の関連がやはり丹念に語られる。樹上生活と絡んで、"食と昼行性(捕食者への防御)"が霊長類の社会性を育んだと言う。第三章では、社会性のもう一つの要因"性"が分析される。メスの群居性にオスの集散が左右されると言う話は分かり易いし、インセスト・タブーが霊長類の世界にもあったとは驚き。いずれも観念論ではなく実例を基にした論なので説得力があり、これが本書の強みと言える。

第四章では、"食や性"の葛藤を抑えて人間が何故社会性を持ったかを、霊長類をベースに考察する。(特にオスの)優劣関係をハッキリさせるニホンザル。一方、群れの中での共存に気を配るゴリラ。チンパンジーやボノボでも食物の分配行為が見られる。各種各様であるが、性の対象の方は共有できない。様々な例が挙げられるが、メスの戦略(ダーウィン流性淘汰)が活きているように思える。そして、最終行のオス・ゴリラの(他親の)子殺しの話題から本題の最終章へ。この侵略オス・ゴリラによる子殺しは社会生態学的に他の現象(メスが群れを離れない理由等)も巧く説明出来るとする。子殺しを行なわない霊長類は、単独生活やペア生活を送っている場合か、複雄複雌の場合と言う。そして、人類の暴力の起源は直立二足歩行と家族(共同体)にあると結論付ける。そして、言語の獲得と土地所有と過去に繋がるアイデンティティとがそれを拡大した。霊長類学から見た地に足の着いた議論だが、結論とその対策にもっと頁数を割いても良かったのではないか。
このレビューは参考になりましたか?
26 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 冒頭、フィールドワークのため滞在したザイールで目撃した内戦の風景、「戦いは究極の
破壊であると同時に、究極の愛の表現でもある」ことを筆者が思い知らされるところから
この本は始まる。
 京都大学霊長類研究所の系譜を継ぐ筆者が、その研究を通じて得られた知見から、暴力の
起源を問う。
 とはいってももちろん、サルにはサルのコンヴェンションがあり、ゴリラにはゴリラの
コンヴェンションがあり、ヒトにはヒトのコンヴェンションがある。当然のことながら、
それらを闇雲に混同して、進化論あたりと乱暴に絡めて論じよう、という話ではない。

 同種の動物同士へと向けられる暴力は、「限りある資源」への競合の末にもたらされる、と
筆者は語る。
 ここで言う「限りある資源」とはすなわち、「食物と交尾をする相手」の二つ。
 こうして、食と生殖をテーマに、数多の霊長類の生存をめぐる戦略戦術競争の具体例が
フィールドワークをもとに明らかにされていく。

 人間の暴力の問題に言及するのは最終章。とはいっても、筆者の問題意識は主に家族の
起源、共同体の起源として、まさに「食物と交尾をする相手」へと向けられ、冒頭において
語られたように、愛の果ての悲しき戦争との仮説に入る。

 別に私は所有とインセストに問題の根底を見出す筆者の直感が間違えているとも思わない
のだが、それまでの霊長類をめぐる研究で開示した鮮やかさに比べると、悲しいかな、まず
何よりも根拠が圧倒的に足りていない(無論、インセスト禁忌を知りたければ、文中に名前も
出ているレヴィストロースを読め、ということになるわけだが)。
 表題にも掲げ、メインテーマたるはずの肝心のこの点については、説得的というよりは、
正味、持論の域を出ないものに留まってしまっている。
 類比的に語ろうという意図は見えるのだが、正直なところ、必ずしも上手に結びついている
とも思えないし、むしろ仮にそこを安易に連結させようとすれば、間違いなく失敗に終わって
いたことだろう。ヒトはヒト、ゴリラはゴリラ、なんて少しでもまともな頭を持った人間にとっては
当たり前に過ぎる話なわけで、その間に普遍性を見出そうなどという所作は無教養な輩に
いかにもありがちな思いつきを超えることは決してない。
 従って、そもそも一冊の本の中で霊長類の生態と人間の暴力を同時に論じようとしたこと
自体に違和感と疑問を覚えてしまう、というのが私の偽らざる印象。

 霊長類の生態や行動の合理性に唸らされる一冊ではあるのだが、こと人間の「暴力」と
なると、若干の疑問符を呈さざるを得ない。
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