かなりショッキングな内容でした。結論としては、国家は暴力であり「道徳では暴力に対処できない」という意見が述べられています。
なぜ人を殺してはいけないのかという問いから始まり、死刑について考えさせられ、暴力はいけないと教える教師が暴力または強制力を持っているなどという矛盾を徐々に説明していきます。個人的にはかなり丁寧に理論を説明してくれていると思うのですが読者によっては冗長で優柔不断な印象をうけるかもしれません。
本書の中で道徳と暴力、暴力と道徳が何度も何度も繰り返しでてきてカントなどの哲学も出てくると言うややこしさ。それでいて内容的には頭がこんがらがることなく読み進めることができました。難しい議題を大変わかりやすく説明してくれていると感心します。
国家の始まりや国家の役割、国家の実態が暴力であること、国家とヤクザが紙一重なことなどなど今まで考えたこともなかったことが説明されており大変世界観の変わる書籍でした。「暴力に対処するにはより大きな暴力しかない」という本書の意見に明確に反論できない自分がもどかしくもありますが世界の歴史やアメリカ中心の現代を考えれば確かにそのとおりかもしれないとも思えます。うまく説明できませんがたくさんの方々に読んでいただき是非感想をお聞きしたいと思える良い議題だと思います。