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暴力に逆らって書く―大江健三郎往復書簡 (朝日文庫)
 
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暴力に逆らって書く―大江健三郎往復書簡 (朝日文庫) [文庫]

大江 健三郎
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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   新聞紙上で足かけ8年にわたって断続掲載された、大江健三郎の往復書簡が1冊の本にまとめられた。その相手は、ギュンター・グラス(独)やナディン・ゴーディマ(南ア)、マリオ・バルガス=リョサ(ペルー)のような文学者から、アマルティア・セン(インド)、ノーム・チョムスキー(米)、エドワード・W・サイード(米)といった、著作の邦訳も多い大学者まで11人。国籍も専門もさまざまだが、「知の巨人」という表現がここまであてはまる顔ぶれも珍しい。こうした書物が現実のものとなったことに、まずは敬意を表すべきだろう。

   その一方、ノーベル賞作家と世界一流の知識人が戦争や平和について語り合う、という企画に、何がしかの権威臭や俗っぽい知の切り売りを懸念する向きがあっても不思議はない。だが、最初の数ページを繰っただけで、その種の思い込みは霧消することになるはずだ。

   書簡の往復が始まった1995年は、阪神・淡路大震災とオウム真理教事件で、日本人には忘れがたい年である。それから、最後の書簡が交わされた2002年の秋まで、世界はいったいいくつの悲惨に遭遇し、その後も目にし続けていることだろうか。執筆者たちは、各々の立場で過酷な現実に向かい合い、打開策を求めようとする。

   その思考は、ドイツの作家グラスが自国と日本の戦後に思いを馳せ、エルサレム生まれのサイードがパレスチナ問題を考察するというように、それぞれの出自に深く関わっているが、同時にきわめて普遍的・汎世界的なものだ。理不尽に失われていく生命を悼み、帝国主義を痛烈に批判する。現在を絶望的に捉えながらも、未来に向けた希望は決して投げうたない。そして、彼らの言葉は青年のように瑞々(みずみず)しく、熱く輝いている。その力づよさは、理想という言葉にしばしば注がれる、侮蔑的な眼差しさえはねかえしてしまうほどだ。これが真の知性なのか、と多くの読者が目を見張るに違いない。このような書物が、世界に先駆けて日本で出版され得たことを、あえて「奇跡」と呼びたい気持ちにさえ駆られるのである。(大滝浩太郎) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

出版社 / 著者からの内容紹介

 引き続く戦争やテロ、差別、子どもの暴力、深刻な危機にある地球環境ーー解決されそうにない困難と狂気がおおう時代に、いかに想像力を恢復することができるのか。ギュンター・グラス(独)、マリオ・バルガス=リョサ(ペルー)、スーザン・ソンタグ(米)、鄭義(中国)、アマルティア・セン(インド)、ノーム・チョムスキー(米)、エドワード・サイード(米)ら世界の知識人11人と交わした、深い思索の軌跡。

登録情報

  • 文庫: 385ページ
  • 出版社: 朝日新聞社 (2006/10)
  • ISBN-10: 4022643722
  • ISBN-13: 978-4022643728
  • 発売日: 2006/10
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.4 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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24 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By kumo
形式:文庫
大江氏や各対話者が自身で認めているように、彼らのペンによる闘いは絶望的です。ほとんど勝目がありません。例えば、イスラエルの非武装化(アモス・オズ)、中国に自由をもたらすこと(鄭義)、核兵器の廃絶(ジョナサン・ショエル)といった主張を彼らは長年展開しています。本書でも、政治・経済・外交の修羅場で日々しのぎを削る実務家からは笑殺されそうな一見「青臭い」議論が、大江氏との間で交わされています。しかし、やはり高校生が「戦争は人殺しだから悪だ」と言っているのとはレベルが違う。大江氏始め多くの対話者が、その思想の起点となる強烈な体験を幼少時にもっており、さらにその後万巻の書を読み、世界の各地を訪ね歩き、問題意識を深化させ続けた末に吐露された言葉だからです。どんな状況にあっても姿勢を変えないだろうな、と思わせる「筋金入り」の雰囲気があります。自分はペシミストでもユートピアンでもない、「ありのままに現実を見つめ、それでも希望を捨てないだけです」というN・ゴーディマの一文が、大江氏や他の対話者にもあてはまると思いました。

 とはいえ、少しも立ち位置のズレが無い、うなずきあっているだけの対談(往復書簡)ではありません。S・ソンタグは大江氏の楽観主義に皮肉めいた返信をしているし、A・センは文学者が見落としがちな「競争」の倫理的意義(支配的地位にいる者の堕落を防ぐ)を説明し、また自虐的(?)すぎる大江氏に日本の経済発展は偉業であると指摘して励ましています(笑)。彼らの思想に親しんでいる人なら、もっと細かな二人の間のニュアンスの違いを読み取っていく楽しみ方もできるんでしょう。

 大江氏が手紙を送るたびに無視されないか心配したと述べているように、これだけの面々全員から真剣な返答を引き出せたのは、ノーベル賞の威光を考えたとしてもスゴイことでしょう。文庫化を機に、手にしてよかったです。
このレビューは参考になりましたか?
23 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
ある程度本を読むと、何だか文学の底を知っちゃった気がするというか、知識人をマトメて一つの共通項でくくって、なおかつその中に入りたくないような、誰もがそんな一種の倦怠感に襲われるはずである。そして人間の一生が妙に味気なく感じられる時ってあると思う。そういう何だか芯から退屈感じちゃってる人には是非読んで欲しい一品である。誰しもが久々に己の「浅はかな満足感」に恥ずかしさを感じるはずである。

大江健三郎の本を読む度に思うことは、この人の問題意識や、美学というのは外国人作家以上に外国人的というか、「同じ日本人らしくない」という感想を持ってしまう。この一流の中の一流の表現者のヒョウヒョウとした語り口には、改めて目が点になってしまう思いである。

何だかわけ分からないですね、スイマセン。

このレビューは参考になりましたか?
17 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
書簡の相手には、そうそうたるメンバーがずらり。特にGunter GrassとZheng Yiとの対話はずっしりくるものがあります。老若男女問わず、お薦めの本です・・・ってゆうか、読め!!と叫びたい。今現在の世界情勢が実に危機的状況だと認識している人々がどれだけいるのでしょうか。この本は僕らの「想像力の隙間」を埋め、相互理解に必要なのが「思慮深いユーモア」であることを伝えてくれます。特に教師を志す方に読んで欲しい本です。
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最近のカスタマーレビュー
リョサ、ギュンターグラス、ソンタグ、チョムスキー、サイード
往復書簡ってなんかええな〜。 内田樹と平川克美さんの往復書簡もおもろかったしな〜。... 続きを読む
投稿日: 12か月前 投稿者: 芹沢かもめ
良くも悪くも大江健三郎
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... 続きを読む
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右翼に逆らって、セヴンティーン第二部を刊行してからモノを言え
――と、言いたくなるのは私だけでしょうか。
大江が右翼の脅迫に屈して封印した小説があることを、若い世代は知っているのだろうか。
投稿日: 2005/7/31
対立・混迷する“現代”の先に未来はあるか
これはすごい本だ。私が考える本書の存在価値は、従来の右か左か、日本に即して言うならば保守か戦後民主主義を擁護する進歩派か、という対立がこれからの世界においては如何... 続きを読む
投稿日: 2003/6/22 投稿者: abekobe
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