正直に言うと,読む前はいわゆる「トンデモ本」の類だろうと考え,軽い気持ちで読み始めたのだが,読み終えた現在,むしろどちらかと言えば,肯定的な気持ちで本書のレビューを書いている。
私たちの記憶は,実際に経験したままであるよりも,その後に付け加えられた情報によって歪むことは,認知心理学的な研究によって多くの証拠が蓄積されてきた。2001年9月11日に起こったことも,アメリカ政府の発表と,それに概ね矛盾しないマスコミ報道によって,大半の人々が,「テロリストに乗っ取られた飛行機が,世界貿易センターのツインタワーとペンタゴンに衝突して,ツインタワーは炎上崩壊した」と思いこまされているのではないか。本書の主張の核心部分の一つはそこにある。実際,ペンタゴンの「墜落現場」写真に,機体の残骸が写っていないとか,飛行機が衝突しなかった第7ビルが「きれいに」崩壊したのにその理由が明らかにされてない,そもそも,旅客機が衝突炎上しただけでビル全体がきれいに崩壊するのか,など,いくつかの点で疑惑があるのは確かだ。著者の主張は,今のところ「一つの仮説」というレベルだと思う。しかし,もしも著者の言うとおりなら,9.11に端を発するテロとの戦争の「正当性」が根底から覆ることになる。
いずれにせよ,読んで検討してみる価値はある,ということで☆4つとしたい。