最近、大人も若者も、マナーがなくなったと言われる。
赤信号を平気で渡る母親。そのあとを子供が付いていく。
若者が電車の中でケータイで話している。
一方で酔っぱらいのサラリーマンが酒臭い息を吐き出している。
若者は……大人は……という問題ではない。
日本全体にマナーがなくなりつつある。
権利意識ばかり強く、譲ることをしない大人も増えた。
江戸時代、雨の日、道ですれ違うとき、人々は互いに傘を傾けた。
今は歩道を歩いていても避けなかったらぶつかってこられる。
この本は、そういうことを嘆いた本ではない。「傘傾げ」など
江戸のしぐさを見直すことで、もっと気持ちのいい人付き合い、
気持ちのいい生活ができるんですよ――という提言だ。
新聞コラムをまとめたものだから、1本1本は簡潔で読みやすい。
「江戸しぐさ」のすべてが今に役立つわけではないと思うが、
考えさせられることの多い本である。
コミュニケーション術の本としても充分読み応えがある。
著者は「江戸しぐさ語りべの会」の主宰だそうだ。