暮らしの手帖の初代編集長のエッセイ。
カタカナ交じりの独特の文体で、
日常生活にモノ申す、といった感じです。
料理を盛るお皿は、模様入りより
料理を引きたたせる器が美しいと
『過ぎたるは及ばぬ図案』との名言が飛び出したり、
日常生活を省みず、デザイン性を追及する建築家の家について批判したり、
芸術の流行と、洋服の流行は違う、そして水玉やストライプなど基本の柄は
忘れてはいけない、、など
昭和28年に出されたとは思えない、
現代にも通じる衣食住など生活全般に対する考え方や意見が
テンポよく展開していきます。
(時にはその速さというか、リズムに
ついていけないことも。でも大丈夫。)
そんな中で働く女性に視点を向けて
書かれたエッセイが、『サラリーガール十戒』。
職場の花になれ、仕事はさらりと断れなどなど、
仕事を持つ女性が増えた今の社会、
そんな意見に対して反発を持つ読者も
いるかと思います。
でも最後に
〜いとしきものよ、汝苦しきことに近づくことをなす勿れ。
銀座あたりをぶらつき、飾窓をのぞき歩き、
映画などを見て、若い日を使い果たすべし。〜
と書かれている文章を読むと、
普段仕事中心のライフスタイルになっている女性も、
ふっと肩の力を抜くことができるような、
父親のような暖かい気持ちが伝わってきます。
『ガール』、という年はすっかり過ぎても、
やっぱり可憐な女性でありたい、そんな気持ちを覚えます。
暮らしの手帖を想像してこの本を手に取ると
違和感を覚える人もいるかもしれません。
こだわりおじさんのぼやきとも取れる口調で、独特の文体。
一気に読み続けるのは正直私は難しかったです。
でもくらしの手帖の現・編集長、松浦弥太郎さんの解説を読み、
文章を戻り、もう一度深く考えていくと、また先へ進むことができます。
自分なりの眼鏡をかけて、
しっかり自分の足で歩いていくヒントを
知らず知らずの間にもらっている、
そんな一冊だと思います。