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暗闇のスキャナー (創元SF文庫)
 
 

暗闇のスキャナー (創元SF文庫) [文庫]

フィリップ・K・ディック , 山形 浩生
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

【英国SF協会賞受賞】
どこからともなく供給されるドラッグ、物質Dがアメリカ中に蔓延していた。覆面麻薬捜査官ボブは捜査のため自らも物質Dを服用、捜査官仲間にさえ知らせずに麻薬中毒者のグループに紛れこむ。だがある日、彼は上司から命令をうけた。盗視聴機を仕掛け、ボブという男を――彼自身を監視せよと。彼は命令に従うが……。ディック後期の傑作。

内容(「BOOK」データベースより)

どこからともなく供給される麻薬、物質Dがアメリカ中に蔓延していた。覆面麻薬捜査官アークターは、捜査のため自らも物質Dを服用、捜査官仲間にも知らさずに中毒者のグループに潜入し、彼らと日々を共にしていた。だがある日、彼は上司から命じられる。盗視聴機を仕掛け、アークターという名のヤク中を―彼自身を監視せよと。彼はその命令に従うが…。ディック後期の傑作。

登録情報

  • 文庫: 414ページ
  • 出版社: 東京創元社 (1991/11)
  • ISBN-10: 4488696090
  • ISBN-13: 978-4488696092
  • 発売日: 1991/11
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 381,729位 (本のベストセラーを見る)
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 他人の苦しみに胸を痛めるということ, 2006/2/10
レビュー対象商品: 暗闇のスキャナー (創元SF文庫) (文庫)
長い間SF作家として活躍してきたディックは、晩年神秘体験をしたことをきっかけに神学的な小説に転向するのですが、これはその過渡期の作品で、一応SFに分類できるもののSF色は極めて薄く普通文学に近くなっています。延々と描かれているのはドラッグ中毒患者の悪夢のような生活です。そのような特殊の人達の苦悩を描きながら、読者に「これこそ僕たちの人生そのものだ」と思わせるところはさすがディックです。

悪夢の中でのたうち回る中毒患者たちにディックは何もしてやることができません。ただ彼らの苦しみに胸を痛めるだけです。しかし、他人の苦しみに胸を痛めることができるというのは素晴らしいことではないのか。既に何度も教えてくれたこのことを、ディックはまた改めて僕に教えてくれました。
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12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ドラックにずぶずぶの日々に泣く, 2002/5/9
レビュー対象商品: 暗闇のスキャナー (創元SF文庫) (文庫)
ディックらしいSFを楽しみたい人にはあまりおすすめできない内容。
SF的要素は多いが、ドラックに翻弄される人たちを描く、
オチがいまいち不発のミステリーっていった感じなので。
その分、プロットの破綻も少なく、読みやすい。
しかし、☆5つをつけたのは、
ベトナム戦争前後の西海岸文化好きおすすめしたいゆえ。
一時期、ディックは自宅にジャンキーたちを招き入れ、
自らもドラックにずぶずぶでだったそうで、
その体験に基づいたらしい、哀切きわまるエピソードの数々が胸をうつ。
そういう状況からサバイバーになった人の言葉は、半端じゃなく重く、
その当時の友人に捧げた、ディック自身によるエピローグは、
何度読んでも泣ける。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 痛いけど、面白い!, 2008/6/28
レビュー対象商品: 暗闇のスキャナー (創元SF文庫) (文庫)
 1977年発表。ディックの長編作としては31作目となる。問題作といわれる「ヴァリス」の前の作品でもある。

 物質Dと呼ばれるドラッグが蔓延するアメリカ。覆面麻薬捜査官ロバート・アクター(=暗号名フレッド)は、捜査の為に自身も物質Dを服用しながら麻薬中毒者たちのグループに潜入して暮らしていた。アクターとそのジャンキー仲間たちはトリップしろくでもない会話をする日々を繰り返す。彼は他にも麻薬密売人でもあるドナという女性とは恋人関係を続けていた。ある日、フレッドは上司から任務命令を受ける。〜アクターの行動を見張るように〜と。それは一体どういう意味なのか。アクターの家に仕掛けられた盗撮カメラの再生映像で自分自身を監視するフレッド捜査官。彼の精神は次第に分裂していき、その日常は混濁へと向かい始める。 

 ディック自身がドラッグ・カルチャーと深く関わりあい、彼の自宅はジャンキーのたまり場になってしまった。そんなすさんだ生活の中で出逢った多くのジャンキー仲間のことや彼らとの語らいを記録したいというのが本書の執筆理由らしい。発表当時から約20年後の1994年のアメリカを描いた近未来小説だが、SF的なガジェットは主人公らの覆面麻薬捜査官が着用するスクランブ・スーツと呼ばれるアイテム(「攻殻機動隊」の光学迷彩みたいなの?)。これたったひとつのみ。ドラッグをメイン・テーマに描かれている日常風景は70年代アメリカ世相そのもの。それもかなりキツイ時代だった当事のアメリカを描いた普通小説に極めて近いスタンスだったりするこの作品は、メイン・プロットそのものが自己のアイディンティを喪失(崩壊)する話なので、読み進めていく程にどんどんと壮絶な内容になっていく。そうなった原因は麻薬作用だという答えが提示されるので、ディックの作品としては珍しく明確で単純なストーリー・ラインになっている。物語の内容も壮絶だけど、ディック自身が書いたあとがきにも驚嘆する。そこには彼の出逢ったジャンキー仲間(彼は同志と呼んでいる)の名前が数多く列挙されているが、その彼らの人生の終焉と言ったら!・・・。だが本作読後の余韻は素晴らしい! ディックらしいほんのささやかなどんでん返しが本当に嬉しい。
                                                           
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