まずひとつに、毎度取り扱う社会問題がよく調べられていてリアリティがあり、さ
らに二転三転する物語性が噛み合って、読み物として価値のあるすばらしいエン
ターテイメント小説になっているというところです。
本作では天下り人事で警察OBの城と成り果てた企業の贈収賄問題が物語のきっ
かけになります。
そしてもうひとつは二宮&桑原コンビが絶妙であるというところ。
ヤクザの桑原は自分が最強で誰も怖くないといったジャイアンであって、二宮にと
って桑原は関わりあうとろくな事がないけど下手に逆らえないという心底疎ましい
存在ではありますが、その二宮は厭味な台詞回しで桑原をおちょくることもしょっ
ちゅうで、ナニワ風ユーモアの効いた二人のやりとりには<脅す者>・<従う者>
という関係にありながら辛気臭さはいっさいありません。この絶妙巧妙な距離感が
すばらしい愛すべきコンビです。がんばれ二宮!いったれ桑原!
そのコンビネーションもシリーズを追うごとに熟成しつつあって、本作も「疫病神」
「国境」の読者を失望させない内容になっています。
そして最後のすばらしいところは、権力に物をいわせた金の亡者・人間の屑を「こ
てんぱんにいわしたる」気持ちよさにあります。
この「暗礁」から入っても何ら差し障りなく読めますので、気に入れば過去の作品
も是非手に取ってみてください。