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どの作品からもその辛さが漂ってくる。一番明るさがある「ただ一撃」でさえ、可憐この上もない息子の嫁を自害させているわけで....表題作もあまりにも過酷な物語。この残酷さは解決のまま終る。武士を脱ぎ捨てて飲み屋に向かう主人公に救いがあるのか無いのか、ワタクシにはわからないのである。題名は失念したが出戻りの女性が主人公の巻頭の物語の行き場の無さはどうだ。老いた北斎が広重に嫉妬する「溟い海」は設定そのものにホンマかいな?あの北斎がそんなせこいことを?と思わなくもないが、そこを受け入れると逆に強烈な凄味を感じさせる。この話の前段が短編集「花のあと」にあって、そこでは広重のほうの迷いが描かれていた。そんな中一番心惹かれたのは「囮」である。これも浮世絵の刷り師と下っ引きを掛け持ちする男の残酷な物語。事件の解決後、活気立つ彫宇・徹夜仕事の達成感は一見蛇足に見えながらその後に甲吉を襲う空虚なエピソードは耐え難いものがある。見張る男の見張られる女への心理。都市に生きる孤独を時代小説の形を借りてここまで見せつけられると「グー」の音を上げてしまう。読後の幸福感は無い。日常の闇を除いたような後味の悪さ、それも本を読む快感の一つだろうか。
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