本書では暗号技術についてわかりやすく解説している。「シーザー暗号」や「エニグマ」といった歴史的な暗号化の手法から始まり、現在使われている共通鍵、公開鍵暗号方式をはじめとする各種暗号化方式、応用技術であるデジタル署名、メッセージ認証コード、証明書、そして鍵の扱い問題、PGPなどが扱われている。そして、各々の暗号技術についてどのような原理で暗号化しているのか、そしてどのような弱点があり、どんな場面で使われるのかが解説されている。
暗号という分野そのものを理解するようなスタンスで作られているのが本書の特徴だ。織り込まれているクイズには、暗号化技術が抱える問題の本質を考えさせてくれる内容や、実際に手を使って暗号化や暗号解読をしてみる演習などが盛り込まれているので、深い理解が得られる。数学の知識とコンピュータの知識が必要となるが、数式はさほど多く使われておらず、使用されている場合には、かなり詳細な解説を施しているので数学が苦手な方でも読み進めることができるだろう。
普段何気なく使っている暗号化技術に、何ができて何ができないのかを理解することはコンピュータを安全に使うためにも必要だ。「暗号って複雑そうだ」と、漠然したイメージを持っている方は、本書をきっかけに学んでみてはいかがだろうか。(斎藤牧人)
(日経Linux 2003/12/01 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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唯一気になったところは、「どのモードを使うか?」のところで結論だけ出してしまって、詳しくは他の本を参照してくださいで終わってしまっているところです。
それさえ除けば、本書は読みやすく、丁寧で万人に薦められる良書です。
仕事で暗号を学ぶ必要のある人から、ただ興味本位で読む人まで幅広く対応できる内容を持っています。
しかし、暗号という概念の場合、「RSA」とか「鍵長」のような「概念を発明する人」が使っている語彙が、「ものを使う人」の前に突然登場することがよくある。暗号の概念が、(歴史はあるが)一般化していない証拠である。
こと暗号の場合、「使う人」は自己防衛のためにこれらの専門用語を理解しなくてはならない。現代の暗号技術は、隣り合っていないレイヤと直接言葉を交わさなければ使いこなせないのである。
そこで必要になるのが、入門者向けではあるが、用語に関して妥協はしないような書物であろう。そのような本を書くのは非常に困難であるが、本書はその目的によく合致している。難しい言葉を、これ以上ないほどに正確に、かつ平易に解説する筆者の力量には驚嘆する。
これを読んでおけば、インターネット上でうっかり出会ってしまった暗号の専門用語に、とまどうことはもうないだろう。
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