原作は読んでいないが、一度見てからその面白さにはまり、連日見てしまった作品。
大阪の昆布問屋に丁稚奉公から入り、その商才を認められて暖簾分けを受ける代わりに、店主から姪との縁談を押しつけられる男が森繁久弥。彼の妻となるのが、きかん気で可愛げのない山田五十鈴。森繁と淡い恋心をお互いに抱きながらも、結ばれない同じ昆布問屋に奉公している娘が音羽信子。音羽信子がすごく可憐。
森繁も上手いが、山田の凄みのある新妻ぶりがよかった。お互いに好きで一緒になったわけでもなく、祝言の後の初夜に口げんかした後、山田が花嫁衣装のまま、昆布を削る姿が忘れられない。森繁も「こん畜生」とばかりに、一晩中仕事をする姿がいい。
男と女って、こんな風にして一緒に暮らし、夫婦になって家族になっていくんだな〜ってしみじみ感じた。特に昔は恋愛結婚なんて珍しかったし、見合いや親の勧めで結ばれることがほとんどだったから。「愛」や「恋」から生まれた関係ではなく、共に暮らし苦労し、喜びが生まれる生涯の「同志」(パートナー)が、日本人のかつての夫婦の姿だったと思う。
全編に浪速の商人の「暖簾」に対する気持ちが伝わり、商魂たくましさが小気味いい。
森繁が、ひょうひょうとしてどこか抜け目のない息子役と二役を演じ分けていて、そこも見所。
他にも名優達がしっかりと脇を固めていて、俳優達の演技だけでも充分見ごたえがある。
飽きずに最後までひきこまれた映画。