著者は、愛知教育大の法学の先生(この原稿執筆当時)で、法学系自主ゼミナール会報に1977−1989年にかけて連載したドイツ語とドイツの風物・歴史に纏わるエッセイに、2010年のドイツ短期留学記を50ページほど付け加えたもの。
ドイツ語の先生が書いたものではなく、またドイツ語を専攻する学生を読者として想定もしていない(多分)から、ドイツ語の広義の参考書としては、余り読み易いとは言えない。
しかし、文法・発音やドイツ近現代史に関して所々にドキッとする記述があり、辞書・文法書・百科事典を参照しながら、私は興味深く読んだ。
良かったのは、たとえば表記と発音の問題(p.52-68);電報・電話関係者にはお馴染みの通話表ドイツ語版(p.86-90)=通話表はドイツ語ネイティブと会話する機会があれば必ず役に立つ筈;長母音(p.105-114);分綴の問題(p.142-157);カタカナ表記(p.158-179)の辺りが、普通のドイツ語文法書には余りない切り口で面白かった。
本書を読んでドイツ語に興味を初めて持った人・・・は、余り想像できないが(なぜなら、本書をわざわざ買って読むような人は大抵はドイツ語学習の中級者であろうから)、もしそのような人がいたら「関口・初等ドイツ語講座」の上巻(三修社 2005/07新版 ISBN-10: 4384004834)だけでも買って、本書で興味を持った部分を読んでみることを、お勧めする。
なお、カタカナ表記の章で触れられている、ナチスの大物「二人のルドルフ・ヘス」について、私も著者と同じく完全に混同していた。 このことだけでも、値段分の価値があったかも知れない。