龍馬伝をきっかけに、本書を手に取ったのですが、思ったよりも面白くて一気に読了しちゃいました。
本書は、華々しさはないけれど、江戸へ留学したり、ダメおやじの尻ぬぐいで入牢したり、抜擢と解雇また抜擢とほどよく波乱に富んでいる弥太郎の前半生をテンポよく描写している。
龍馬(本書では端役に過ぎない)や後藤象二郎に脱線することなく弥太郎の軌跡を丹念に追っているところも好感がもてる。
但し本書が私をひきつける理由は別のところにある。
それはもう一人の主人公(?)節弥の存在だ。彼の華麗な(?)女性遍歴の物語が、ともすれば地味な弥太郎の立身出世物語に程よく挿入されており読んでいても飽きがこない。ぼくはだれが何と言っても弥太郎ではなく節弥に共感する、いや節弥が好きだ、いやいや節弥になりた〜い。おっと失礼。
ともあれ、タイトルの堅さや岩崎弥太郎というキャラや経済小説というジャンルからくるとっつきにくさを、いい意味で裏切ってくれる一冊。是非是非、手にとってみてください。
ちなみに下巻は上巻ほどテンポがよくないんですよね。一つは自由民権運動家や他の事業家に筆をとられすぎて(タイトルどおり群像物語の様相を帯びてくるわけですが)、弥太郎や節弥から焦点がぼやけてくるのがその理由だと思います。ただ弥太郎や節弥の行く末を、どうしても見届けたくて結局は読了したんですけどね。