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晴子情歌 下
 
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晴子情歌 下 [単行本]

高村 薫
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

戦前から戦後へと続く母・晴子の回顧と独白は、彰之自身の記憶の呼び声となって波のごとく重なり、うねり合う。母はなぜこうも遠いのか。母とはいったい何者か。薄れゆく近代日本の記憶と、或る母子の肖像。

内容(「MARC」データベースより)

戦前から戦後へ続く母・晴子の回顧と独白は、彰之自身の記憶の呼び声となって波のごとく重なり、うねり合う。母はなぜこうも遠いのか。母とはいったい何者か。薄れゆく近代日本の記憶と、或る母子の肖像。

登録情報

  • 単行本: 356ページ
  • 出版社: 新潮社 (2002/5/30)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4103784032
  • ISBN-13: 978-4103784036
  • 発売日: 2002/5/30
  • 商品の寸法: 19.2 x 14.2 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 224,514位 (本のベストセラーを見る)
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形式:単行本
高村薫を読み込んできたファンとしては、これまでの作品と比較してあまりの作風の変化に、最初は違和感を覚えるかもしれない。だからこそ逆に、長年のファンも、この作品から初めて?村薫の小説を読む人にも、斬新な筆致が味わえるだろう。

本書で主人公とされる晴子の出生から青春時代、結婚、そして老いに至るまで、戦前戦後の過酷な歴史の渦に翻弄されたといっても過言ではない。ひとりの女性史として捉えるにはあまりにも重いテーマであるとともに、登場人物のひとりに語らせている外地での戦争体験が、筆者の史観をうかがわせる。

この本の登場人物は非常に多く、また入り組んでおり、しかも先述の通り、登場人物自身が重苦しい時代を背負っていくことを余儀なくされる。読書の際は、登場人物相関表、および年表を自身で作成しながら読み進むと、後々の助けとなろう。

初夏に一時帰国した際、北海道に飛んで日本海側の町、初山別を訪れた。かつて鰊の群来で栄えたというこの町で、晴子が永遠の恋人となる人物に出会った様子を、荒々しい日本海を眺めながら想いをゆくらせた。ついで青森にわたり、西津軽の七里長浜を訪れた。七里長浜は、下巻の最後で晴子の息子・彰之が対峙する海でもある。彰之の母への想いを推しはかりながら、暮れなずむ日本海を目の当たりにしていた。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
あれは、『レディ・ジョーカー』が出た頃か、''高村さんが、ご自分を不器用と言っておられる記事を見掛けた。

まさかと思ったが、今回、福澤王国シリーズ全三作を読み進めていて、それは本当だと思った。

だからこそ全てをしなくてはならない結果が、この大作だ。

また、順番を逆に読んだことは、わたしの場合は功を奏した。

結局は第一作目の『晴子』が、全作の原点なのであり、遡る形で十二分に備えての取り組みだったことから、

理解が進んだと思う。

はっきり言えば、全作が示しているのは、ただ、「無明」である。

最終作『太陽を曳く馬』に至って尚、そこに救いはない。

言い方を変えれば、''高村さん自身が、救いを拒んで、無明から出ようとしていない。

それは、氏が、余りに真面目な人だからだということも、添えておく。
このレビューは参考になりましたか?
形式:単行本
高村薫さんはあまり女性を書きたがらない、とは
私の感覚でした。しかし、今回の晴子は見事に
描かれています。
高村氏は《女性の行動は男性ほど分かりやすくない。
女性の行動は複雑だ。》と言っています。
ここに登場する晴子も単純ではない。
こちらが望んだわけでもない男に好意を持っていた
とは思えぬのに、その人の子供を産んだり、
自分の子ではない子供を引き取ったり、かといって
周りを恨んだりもせず、卑屈にもならない。
淡々と生きる大正生まれの女がいる。

この晴子が息子彰之に自分の人生を綿々と綴って手紙を書く。
辛かったでもない。
周りが、時代が憎いというのもない。
後悔などは微塵もない。
だからといって、キリスト教的な神の思し召しだから
甘んじて受け入れるというのでもない。
そこに自分がいきているから、望んだ訳でもないが、
激しく拒むほどの抵抗もない。
ただ、そのままの流れがある意味生きていくことなんだと思う、
という仏教的な生き方が滲みでている。

高村氏は常日頃から、《職業によって、人間が確立する。
人というものはそういうものだ。》とおっしゃっている。
この下巻も鰊漁の様子が生き生きとえがかれていますが、
特に、一緒に働く足立という男の戦争体験や、そのことによって、
病んで崩壊していく人間模様の描写は凄まじいです。
そのことによって、あの戦争の悲惨を、忘れ勝ちな戦争を
慄然として、思い出します。

高村氏は晴子の生きる大正、昭和の時代を、晴子が預けられて
生きた福沢家という大所帯の中で暮らしている人間模様の中に
その時代を語らせています。
福沢家の当主勝一郎に焦点をあてて、戦後の日本の政界を活写
しています。
息子彰之の生きた大学紛争の時代は叔母の公子や従兄弟たちを通して、
時代を語っています。
私はこの彰之とほぼ同時代の昭和を生きて来て、大学紛争も
ちょうど終息するかの時代に生きていました。この近代史
を総まとめするように、自分の生きてきた時代を回想する。
そんな感傷も持ちつつ読んでいるうちに、ここに描かれる
彰之本人、父親の康夫、叔母の公子などが、この時代の空気
の中であがいている姿はそのままこの時代の世相を表して
いて興味深いです。
高村氏の描く人間は実に興味深い。
読んでみることをお勧めします。
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