この作家さんを読んだのは初めてです。たとえば岩本ナオ『町でうわさの天狗の子』のように、日本の神話伝説と現代の少年少女をからめた作品が、児童文学含めて好きなので、検索で見つけたのですが、大当たりでした。
中学生のちょっと霊感体質の少女澪は、昔からの雨女。
雷神の孫でいたずらが過ぎて人間界に追放されてきた少年玄とぶつかり、感電死しかけ、それ以降、雷神や風神、自分についていた「しぐれ」という雨神の少女などが見えるようになります。
けれどオカルトロマンの方向に行くわけではなく、隣家の幼なじみの秀才少年、敦士への思いや、学校の行事や、そんなものが丁寧に描かれ、その中で、玄(いかにも伝統的な雷神の衣裳を粋に着こなしてかっこいいです)が、天候や自然の奇跡にまつわる澪のいろいろな願いをかなえてくれるというのがメインの筋です。颱風や梅雨神のすがたかたちがそれらしくて、日本人はこうした目に見えない存在たちと感応しながら生きてきたんだな、と改めて豊かな心持ちにさせられます。
2巻ではちょっとハヤブサを思わせる探査衛星と織り姫伝説がからんだり、現代科学と古い伝説がバランスよく溶け合って、さわやかな叙情性が流れています。
天気予報士の資格をもつ敦士の理系のロマンと、玄の背後に広がる神話の世界がぶつかり(澪をはさんで微妙な三角関係)あいつつ、絶妙な後味を残します。
お天気お姉さんの葉月さんと、夫の民俗学者の弓削さんの大人のコンビも加わり、この世界観はさらに広がりを増してゆきそうです。