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普遍論争 近代の源流としての
 
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普遍論争 近代の源流としての [単行本]

山内 志朗
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

中世哲学は、なぜ、トリビアルな問題の集積と見られがちだったのか?この謎を解く鍵が「普遍論争」である。「はたして普遍は存在するのか?」というこの単純な問いをめぐる一見煩瑣な論理をていねいに読み解くことにより、本書は、中世哲学のもつ豊穣な可能性を描き出す。哲学入門としても最適の一冊。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

山内 志朗
1957年、山形県生まれ。東京大学大学院修士課程修了。新潟大学人文学部教授を経て、慶應義塾大学文学部教授。専門は中世哲学だが、現代思想、現代社会論、コミュニケーション論、身体論、修験道、ミイラなどについて研究し、さまざまなメディアで執筆活動をしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 478ページ
  • 出版社: 平凡社 (2008/01)
  • ISBN-10: 4582766307
  • ISBN-13: 978-4582766301
  • 発売日: 2008/01
  • 商品の寸法: 16.2 x 11.4 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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25 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 ルネサンス、とのことばは中世にとってあまりに悲惨なラベリング。新生、再生とはこれ
すなわち、それ以前の数百年を死せる時代として閑却してしまうものなのだから。実際、
この時代の哲学もまた、「神学のはしため」との評を筆頭に罵倒のことばに事欠かない。

 ところで本書は、当の「中世スコラ哲学の入門書として書き始められたもの」であり、
その端緒として「普遍論争」という「問題の系譜学を探る」。とはいえ、本書の立場は必ずしも
通説的な理解に与するものではない。「実は普遍論争が中世哲学を覆い隠してきてしまった」
との見立てから、実在論、概念論、唯名論との分類の妥当性にテキスト批判を通じて吟味を
重ね、「いわば中世哲学の仮面を取り除くことで、中世哲学への招待を」試みる。
 そして、中世の議論の緻密さを知らしめることを通じて、中世と近代に果てしない断絶を
見る浅はかな通説に異議を差し挟み、「近代の源流としての」姿を提示する。

 分厚い本ではあるが、本文は300ページ程度、巻末に140ページにものぼる「中世哲学人名
小事典」が付されている。です・ます調で綴られてはいるが、端々に氏特有の毒気がにじむ。

 氏は入門書と語りはするし、事実、説明なども慎重かつ丁寧なものではあるが、かといって
形而上学や論理学に一定程度の心得のない人間が軽やかに読める一冊などでは到底ない。
 とりわけ、原典から抜粋した翻訳部分などは、コンテクストや解説抜きでは晦渋を極める。
 中世哲学の入門書を欲しているのなら、まずはリーゼンフーバーに当たった方がよかろう。
その後に本書を手にとっても決して遅くはない。豊かな実りに富んだ一冊であることは確か。
このレビューは参考になりましたか?
17 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
中級者向け 2008/10/14
形式:単行本
以前哲学書房から出ていた本の廉価版。当時は値段も高いし(3.5倍)地味だし難しいだしで、物好きな奴しか読まないんだろうなぁと思いつつも、参考書の山を傍らに難儀してちびちび読み進めた覚えがあるが、まさか廉価版が出ようとは。遠くない内に絶版になりそうな予感がするので、手に入れたい方は早めに購入しておいた方がいいだろう(平凡社さんには出来れば頑張ってジルソンの『中世哲学史』や『中世哲学の精神』等も出して欲しいところ)。

内容の方は一方に実在論、他方に唯名論、両者の折衷案として概念論があると云う、旧来のスタンダードな単純化された普遍論争の図式を一旦解体し、その再解釈を試みると云うもので、テーマは割と野心的。第一普遍論争を単独で扱った書物と云うのが他に無いので、この分野に関心のある向きには必読。中世スコラ哲学と云うと現代人の生活とはとんと関係の無い様な響きがあるが、そもそも普遍論争とは、プラトンやアリストテレスの時代から連綿と続く認識論と存在論との死闘の系譜上に位置する古くて新しい論争の一形態なので、その意味でその応用発展まで視野に入れれば、普遍の問題は現代に於ても決して死んではいないどころか寧ろ今尚アクチュアルである。例えばAIのフレーム論争や認知意味論等は正に普遍論争の現代版と云う感じがするし、現象学に関心のある読者ならば、本書を手掛かりに志向性の意味について再考することも出来るだろう。

それでも本文がどうもピンと来ないと云う読者は、終わりの方だけでも読んでみるといいだろう。20世紀に於ける中世哲学研究史の概観や中世哲学小辞典が載っていて、分量は然程ではないがこれが結構重宝する。

一応根気と手間暇さえ惜しまなければ素人でも読める本だが、どちらかと云うと専門家向き。最低限の予備知識は持ってないとちと辛いだろう。ジルソンとまでは言わないが、せめてリーゼンフーバーやラッセルの本で中世哲学の基礎知識を得てからチャレンジした方が無難。
このレビューは参考になりましたか?
21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
哲学史の本はたくさんありますが、大抵中世だけはサラッとすませるのが普通です。

「普遍論争」について紹介して、それがいかにトリビアルで無意味な議論であるかをあげつらい、中世は哲学的には実りのない時代だった、と結論する。中世は教会が権威を持っていた=信仰の狂気が幅を利かせていた時代であり、理性が目ざめるのは近世ないし近代を待たねばならない、といってデカルトに進むのがお決まりのパターンです。

ところがこの本は、そのような中世に対する暗いイメージは近世の側から押しつけられた=捏造されたものだといいます。

たしかに普遍論争はトリビアルで、テクニカルな議論かもしれない。しかし、そうであるからこそ逆に、中世ほど厳格で緻密な哲学的議論が展開された時代はない、というのが著者の主張です。

中世独特の概念図式のせいで議論が理解しづらいという問題はありますが(たとえば「意味」と「代表」の違い。詳しくは本書をどうぞ)、著者の主張はなるほどと思わせるに十分なものです。

この本に続いて、中世哲学の良書が増えることを期待します。とくに入門書が。
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