着眼点は素晴らしいし、アンケートとインタビューから「本音」がうまく引き出されていて調査協力者の発言内容にも大いに興味が持てる。膨大なデータを19万以上のコード化を施し定量集積処理がなされている努力にも敬意を払いたい。
だが、この調査は2回に渡る合計445人調査協力者がマメに日記につけ、食卓や家族の姿をカメラにおさめ、自由記述式の調査に協力を惜しまなかったからこそ実現したものである。しかし著者は、その貴重な「本音」を「〜などというのだ」「〜と当然のことのように言う」という表現を用いて、協力者のコメントをことごとく嘲るように引用している。自らの調査への協力者に対し、無礼千万であると感じた。子どもの顔にモザイクをかけた写真を掲載し、辛らつなコメントをつけたものもある。成長した子どもたちが本書を手に取った時のことを思うと心が痛む。
興味深い調査内容にも関わらず、調査結果と考察が最初から混ぜこぜになっている上に、その考察には嘲笑が渦巻いている。p.31の世帯年収グラフによれば、ちょうど半数の調査協力者の世帯年収が600万円以上1,000万円未満であり、1000万円以上の世帯は18.4% 、全体の35%以上の世帯年収が800万円以上となっている。このような協力者は、どのようにして選ばれたのか、募集方法、条件がまったく明記されていないのでは、「普通の家族」とするには無理があると感じた。