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晩年 (新潮文庫)
 
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晩年 (新潮文庫) [文庫]

太宰 治
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 407ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (2005/10)
  • ISBN-10: 4101006016
  • ISBN-13: 978-4101006017
  • 発売日: 2005/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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21 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
本書は、太宰治のデビュー作で在る。
デビュー作なのにも関わらずタイトルが「晩年」とは、変わって居ると想わないだろうか??其の理由、本作は、当時太宰が自殺を前提に「最初で最後の作品集」として付けたタイトルであるからだ。
本作品集は、初期作品15作を収録しており、私の御勧めは「道化の華」である。
この作品は、後の「人間失格」にも通じる太宰が犯す最初の心中事件後の入院生活中の出来事を題材にしており、主人公葉蔵とその仲間達の計算しつくされた交流の中に、現代の若者達にも通ずる仮面性・ユーモアを感じ取る事が出来る、秀作で在る。
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46 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 太宰は私の青春の書である。今でも私の本棚には黒い表紙の新潮文庫版のおびただしい本の背表紙が並んでいる。苦しく、不安なだけの日々だった。

 最も太宰らしい本と言えばこの「晩年」を挙げたい。よく作家は処女作を越えられないというが、この一冊の短編集に太宰のエッセンスはすべて詰まっていると思う。

 結局、今から思い出してみると、太宰の屈折した自己愛と自分のそれとが共鳴現象を起こしていたのだなということがわかる。しかし、それはそれで一種の癒しになっていたのだと思う。心理療法の先駆者と言われる何とかいうローマの医者は憂鬱に悩む人には憂鬱な詩を聞かせ、躁状態の患者には勇ましい詩を聞かせて癒したという。そういう効果が、太宰の作品にはあると思う。

 太宰は30までに卒業するべきものだと誰かが言ったそうな。私もそう思う。自分にとりついている自己愛のヴェイルをはがし、等身大の自分をうけ入れるとき、人は太宰を卒業するのだと思う。私は3回にわたる内観でそれを達成した。遅い卒業だった。

 苦しい時代を見守ってくれた太宰治に対してはただ感謝あるのみである。本当に気の毒な人だったと思う。「ありがとう、そして、さよなら」。ありふれているが太宰に対して贈りたい言葉である。

このレビューは参考になりましたか?
15 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
最高傑作 2006/7/23
形式:文庫
太宰治は好きで全集まで全て読んだが、この作品集と

「新釈諸国噺&お伽草子」が双璧で面白いのでないかと思う。

太宰の本当の晩年の独りよがりの暗さは少なく(道化の華くらい)、

作品の一つ一つに「何か新しい工夫を」というのが感じ取れる

「珠玉の作品集」という言葉がぴったりくる作品だ。

どれも面白いのだが、オススメは「葉」「道化の華」「猿面冠者」

「逆行」「彼は昔の彼ならず」「紙の鶴(「陰火」に収録)」

あたりか。

「葉」は捨ててしまった小説の中のどうしても捨て切れなかった

センテンスが並べてあるのだが、一通り読めば誰でもいくつかは

心に響いてくるフレーズが並べてある。

「道化の華」「猿面冠者」は題材もさることながら、手法が今日

に至っても新鮮に感じられることが素晴らしい。

「逆行」「彼は昔の彼ならず」は多少、暗くて重い題材を扱って

いながら、それを全てユーモアでくるんで面白さのみを読者に提供

していて、本当の晩年には無い太宰のサービスが現れている。

「紙の鶴」は個人的に一番好きなのだが、主観的には重過ぎる題材を

扱っておいて、他者(読者)には滑稽さしか感じさせないところが

素晴らしい。パラパラと読むと見逃しがちなので、これだけは読んで

頂きたい作品である。
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