ゴットはまず、時間旅行についての良質のサイエンスフィクションが最新の科学的なアイデアにいかに閃きを与えたかを語る。次に、未来に向けての時間旅行が単に可能であるだけでなく、もう実際に起きているのだと説明する(宇宙飛行士は、地面にずっとしっかり足を踏ん張っている私たちよりも、ほんの少しだけ年を取るのが遅い)。さらに、どのような物理的条件の元でならば過去にさかのぼることが実際に可能なのかを検討する。そして、もっとも驚くべきネタを取り出して見せる。つまり、時間旅行の研究は、宇宙が自らを生成したのかどうかを知るために使えるというのだ。
最後に、時間旅行についての本は未来からの報告なしには完成しないと断言して、ゴットは、彼が開発したある科学技術を基に、人類の活動範囲がどの程度拡大するかを予言する。人類誕生からごくわずかな時間しか経っていないのに、われわれは宇宙についていかに多くのことを学んだことか。その結論は控えめだが驚くべきものである。
『Time Travel in Einstein's Universe』(邦題『時間旅行者のための基礎知識』)は、その突飛なテーマと科学的な才気の点からだけでも必読だが、楽しんで読める1冊でもある。
--このレビューは、同タイトルのハードカバーのレビューから転載されています。
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この手の本は、とりあえず、光速に近い速度で移動することによって起こる浦島太郎効果を用いた未来への片道の時間旅行までは読んでいけるのですが、それよりもはるかに難しい過去への旅行については、大半の本は書き方が曖昧だったり図表が不十分だったりで消化不良になってしまいます。本書はその点がしっかりと書かれています。
著者は、論文を書きなれているせいか、文章も理路整然としており、また、同様の理由で、図表が多いので大変理解の手助けしてくれます。また、図表のセンスの良さは、自分で描く場合の参考にもなります。まさに、「本物」のタイムマシンの理論的解説書って感じです。これまで、何冊か類似の本を読まれて幻滅された方や初めて読む人にもお勧めです(と言って友人にも勧めたら喜んでいました)。
ちなみに、表紙のデザインセンスもよく、そういった点でもお勧めです。
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