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24 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
素晴らしい日本語訳者に出会えたことを喜びたい,
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レビュー対象商品: 時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫) (文庫)
ある夜を境に地球を何か大きな界面が包みこみ、夜空からは星が姿を消す。包み込まれた地球とその外の宇宙空間との間では時間の経過に1億倍の差が生まれた。地球人が1年を数える間に、外側の世界では1億年が経過していくのだ。この巨大な時間差を利用して人類は、火星に原初な生命を打ち込み、やがてそこを植民惑星に育てることにした。そして進化した火星人類が地球に降り立ち…。地球の近未来の姿を空前絶後の想像力で描く、壮大なSF作品の上巻。地球と外世界の巨大な時間差を利用して、我らの世代が生きているうちに遠大な未来から火星植民者の子孫がやってくるという物語に、幻惑・魅惑・驚愕させられるストーリーです。 まだ上巻を読み終えたところですが、本書が与えてくれるその興奮たるや相当なもので、物語の行く先を見るのが待ちきれない強い思いがあります。 さらに詳細な展開については下巻のレビューに譲ることとして、ここではなんといっても日本語翻訳者の素晴らしいの一言に尽きる訳文に触れておこうと思います。 巨大なホラ話である英語原著の味わいとは実際には比較していませんが、ともかく読みやすく、流麗で品位ある日本語文に魅了されます。その見事な訳文が読み手の私をぐいぐいと引っ張ってくれ、このSFがこれほど素敵な日本語の書き手に出会えたことをとても強く喜びたい、そんな気にさせてくれるのです。 調べてみたら、私がこの訳者・茂木健に出会うのはこれが初めてではありませんでした。 今から4年前、「指紋を発見した男―ヘンリー・フォールズと犯罪科学捜査の夜明け」というノンフィクションの無類の面白さを日本語で教えてくれたのがこの訳者だったのです。 この訳者の手による翻訳本であれば、ジャンルを問わず二度三度と手にしたい。そんな気にさせられる日本語文です。
14 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ヒューゴー賞は伊達じゃない,
By ただただし (神奈川県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫) (文庫)
突然地球が膜で覆われ、外界より1億倍(!)も遅い時間の流れに放り込まれるというファンタジーめいた設定だが、おかげで太陽系の進化を一人の人間が一生のうちに体験できるというオモシロい環境ができあがる。で、それを生かしたハードSFかと思いきや、けっしてガチガチな科学話にはならなくて、ドラマの描き込みがじつに緻密ですばらしい。古いジャズが好きな主人公の、その趣味を生かしたエピソードとか、幼馴染との長期にわたるプラトニックな恋愛とか、自然や心理の描写が盛りだくさんで、なんだかいい読書だなぁ。SF読んでてでこういう感じって久しぶりだ。楽しかった。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
人間には希望を持ち続ける理由が必要なんでしょうね,
By
レビュー対象商品: 時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫) (文庫)
地球が突然膜のようなものにつつまれ,膜の内外での時間の進み方に差異がでる。その時間の差異は極端で,地球での一年が膜の外では一億年に該当するとうのだ。するとこれまでの地球にとっては数十億年先という遙か先の話であった太陽の寿命が数十年後というリアルな時間となって迫ってくることになる。数十年後には人類の滅亡が現実となることが明かとなった人間は今後どのように生きていくべきなのか。希望を失った人間は自殺や暴動,略奪に走り,神にすがるものは永遠の救済を求め宗教へと走る。人間には希望を持ち続ける理由が必要だ。 そこで考え出されたのが火星の地球化だ。 この極端なまでの時間の流れの差異を利用しない手はない。火星を人類が居住できるだけの環境に変えるにはとてつもない時間がかかるが,この時間の差異を利用すれば,地球での数年が火星で数億年である。その間地球からロケットで送った生命の源が火星の大気や土壌を変化させ,原始的な生命が進化し,火星の地球化が可能となるのではないか。更に人類を火星に送ることによって数万年後(地球では数ヶ月後)には人類自身の進化を期待することができるのではないか。 この設定にまずSF小説ならではの興奮を味わえます。 しかし,本書の特徴は,上記のようなSF小説としての醍醐味よりも,そのような状況におかれた人間や家族のドラマがメインとなっています。 従って,謎解きに重点を置きすぎると多少肩すかしな感じを味わうことになります(すべての謎が解決されるわけではないですから) それでも,本書には最後まで読まずにはおれない魅力があります。 魅力的な登場人物の心理描写やこまかなエピソード。 少し時間をおいて,本書のその後が描かれる「無限記憶」も読んでみようと思います。
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