カズアキさんのイラストだから購入。
それは都市伝説程度に知られた存在。不老不死を必要とする者の前に、時間商人の助手は白い猫を連れて現れる。寿命10年間か提示した金銭を支払えば時間商人は「不老不死」を売ってくれる。
時間商人トキタが売る不老不死は確かに老いることなく、怪我や病気もせず、死ぬことも無い。だけどそれは10年間という期間限定の代物。10年経てば元に戻ってしまう。
様々な理由でそれを求める者がいる。ある者は自らの足で出向き、ある者は助手のカナタに案内されて店を訪れる。そして――
全4話の連作短編。なぜ特別な10年間が必要なのか、本当にそれを購入するのか否か、そして購入者にもたらされるのは一体どんな未来か。それが各話のポイントとなります。(顧客からの視点で描かれているのですが、とある話ではそれを忘れそうになることも)
不思議な商品を取り扱う店(この話では「不老不死」だけですが)、くえない店主、無邪気な助手、毎回違う客というような組み合わせの話。それなら他で似たような設定をみたことが……っていう人もいるかと。ですが、この物語ではこの商品を巡るやりとりが非常に独特。10年という期間限定の不老不死だからというのもそうだし、支払い方法に金銭という選択肢があるし、寿命という支払い方法も意外な選択肢があるし、しかも更新が可能ということでかなり話の応用の幅が広い。また店を訪れる者の心情を丁寧に描いているので、「なんとかならないかな」と思いながら読み進めてしまいます。
話は綺麗にまとまるのですが、正直綺麗過ぎる気がしました。(こういう話は一人ぐらい報われない人がいるのが常なので、そう感じたのかもしれませんが)キャラの苗字を明かすだけで読者を驚かせられるといい、構成がすごくしっかりしています。1話1話が短いのであっという間。移動中に読めるタイプの内容です。