非常に分かりにくいクリシュナムルティの教えですが、この本はクリシュナムルティ自身による
解説本のような出来になっています。対話相手が理論物理学者であるデヴィット・ボームだから
出来た稀な本といえるでしょう。思考を超えた部分はまったくの〈空〉であり、その〈空〉の
背後(超えたところ)に絶対の〈基底〉があるというところにまで話が及ぶところなど、
般若心経の解説を読んでいるような感になりました。しかし、巷に出ているどの「般若心経の解説」
よりも「空」の捉え方、説明が納得のいくものでした。
また、対話相手が科学者のため内容は科学的でオカルト的なものではない仕上がりとなっています。
そして対話は、〈時間の終わり〉から始まり、宇宙=瞑想という壮大な内容となっていくのですが、
瞑想をこのような人間の意志や思考が及ばないものと捉えたのは、私の知っている限りは、
クリシュナムルティが初めてではないでしょうか。秩序=宇宙=瞑想と言及するところなど他の本にはない
内容でした。クリシュナムルティの教えを実際に生きることは、なかなか難しいことでしょうが、
クリシュナムルティ自身、過去100万年前と全く変わってないとも言っており、これから先、
100万年後も変わらないこともあるわけです。しかし、彼の教えを実際に生きる者が世界に10人いれば、
人類の意識を変え、全く新しい人類となる、全く新しい世界が現れると言っているので、
後に生まれてくる人類のため後世にまで残していってもらいたい名著です。