患者を通して、時間を捉える感覚が心の病によって変わることを発見したのは大変な業績である。これはそもそも我々が考えている時間という難物が絶対的ではなく人間の意識と表裏一体であることの証明でもある。そうなると物理的に存在していると思っている空間のアナロジーとしての時間はどこに行くのであろうか? 最近では宇宙には時間がそもそもないという学説もあるくらいだから、こころと時間の問題は根源的な哲学の命題「我々はどこからきてどこに行こうとしているのか」を解決するきっかけになるかもしれない。ユングと同様に患者を観察することで得られる帰納法的なアプローチは最先端科学でもわからない多くの問題を解決する糸口になっていくだろう。もっと注目されても良いと思う。