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時刻表に見るスイスの鉄道―こんなに違う日本とスイス (交通新聞社新書)
 
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時刻表に見るスイスの鉄道―こんなに違う日本とスイス (交通新聞社新書) [新書]

大内 雅博
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 840 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

九州ほどの面積の国土に約5000キロの鉄道が走るスイス。アルプスなど国際的な人気観光地としてのイメージが強いスイスだが、この国は、実は独自の思想やシステムにもとづいた知る人ぞ知るオンリーワンの鉄道の国だ。本書は、時刻表を通してスイスの鉄道運営のありようを紹介するとともに、日本の鉄道のもつ条件や問題点を、比較的な視点から検証する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大内 雅博
1968年茨城県石岡市生まれ。茨城県立水戸第一高校、東京大学工学部土木工学科卒業、同大学院博士課程修了。工学博士。東京電力(株)、東京大学助手を経て、高知工科大学社会システム工学教室准教授。専門は土木工学およびコンクリート工学。21世紀の社会基盤のあり方を探るため世界各国を歩き回る。土木学会、日本コンクリート工学協会、日本旅行作家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 207ページ
  • 出版社: 交通新聞社 (2009/06)
  • ISBN-10: 4330076098
  • ISBN-13: 978-4330076096
  • 発売日: 2009/06
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:新書
 まず断っておきたいのが、本書は鉄道を通した、スイス観光を目的とした観光ガイドブックではない点。「氷河急行」や「ゴールデンパスライン」等、スイスには魅力的な観光列車が存在し、年間を通して多くの日本人が利用している。このようなスイスを列車で観光するためのガイドブックとして、本書は存在しているのではない。事実、本書中にもそのようなくだりは見られない。本書はそのような一般的な観光客向けの書ではない。スイスガイドブックとして本書を購入すると、期待を裏切られる。
 筆者は新進気鋭の工学博士。専門は土木工学と著者紹介にあるが、本書は氏の得意分野であろうと推察される社会工学、とりわけシステム工学の観点から、スイスの鉄道ダイヤや運賃の仕組みについて、分析・考察を行っている。すなわち、本書はスイス鉄道における「時刻表工学」いえる内容となっている。それゆえ、本書を読み解くには、一般的な時刻表に関する知識(『トーマスクックの時刻表』が理解できる程度)及びスイスの地理等、それなりの予備知識を必要とし、一般向きとは言い難い。この点をクリヤーできる人にとっては、専門性が高く、これまでにあまり類がない書として楽しめるのではないだろうか。
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形式:新書
他のかたのレビューでも書かれていますが、本書はスイス旅行などで使用される鉄道のガイドブックという位置づけではなく、スイスの鉄道に興味がある初心者が、鉄道事情をより深く理解するための本です。本書の内容は、スイスに在住している人ならば常識の範囲を超えておらず、また、公式時刻表から読み解ける範囲のことしか書かれていません。したがって、「なぜ、そのようになっているのか?」をさらに深く知りたい人は、スイス連邦鉄道の公式ホームページや専門書を読む必要があります。まぁ、文庫・新書本の目的からすれば真っ当なレベルの本かもしれません。

スイスには、連邦鉄道(いわゆる国鉄)と私鉄をあわせて約5400kmの路線網があり、このほかに連邦郵政省の管理するポストバスが国内をくまなく網羅する有機的な路線網が構築されています。全ての時刻表は(一応)待ち時間が最小になるように計算されています。列車の表定速度は速くないのですが、そのネットワークの緻密さと運賃戦略(乗り放題カード、半額カードや観光客向けのフリーパス)、異なる交通機関の棲み分けによって、非常に利用しやすい交通機関になっています。本書では、ノード理論とパターンダイヤの導入による1時間または30分ごとの運転が各駅でどのように実現されているのか、新線建設が運賃計算に及ぼす影響と政府の補助金の役割について、具体例を挙げて詳しく説明してあります。

しかし、これらの内容はスイスに住んでいる人ならば常識の範囲内です。公式時刻表からこれだけのことを読み取るのは大変かもしれませんが、大学の研究者としては、一章でもよかったので、さらに踏み込んだオリジナリティのある内容が欲しかったです。

また、本書の中では、現地調査不足によると思われるふしが多くあります。たとえば、「チューリッヒ中央駅の時刻表設定は簡単なはず(この駅が中心となって全国の時刻表を決めれば良いため)」だと書かれていますが、本当でしょうか? チューリッヒ中央駅では同じ時間に何本ものIC特急・IR急行が進入してこれるように、線路の平面配置の改良工事を行っています。あれだけの限られた面積(しかも都市の真ん中)で新線工事を行うのは非常に難しかったのではないかと想像されます。また、毎時30分発のベルン発IC特急は2時間に1本ずつインターラーケンとブリークに振り分けられているのか?について、乗客数から説明されていますが、実際は、シュピーツ〜インターラーケン間の交換設備数、ゴールデンパスラインのREの設定、それを縫うように設定されている1時間に1本の各駅停車Rが非常に大きいと思われます。全ての交換設備を使って行き違いをしている現状から、これ以上に列車本数を増やすことは難しいでしょう。このようなことは、現地にいればすぐ分かることですが、本書では指摘されていません。

また、スイスでは「インターラーケン・ダッシュ」という言葉があります。インターラーケン東駅は、都市部のチューリッヒ・ベルン方面からのIC特急やICEドイツ新幹線と観光地のグリンデルワルト方面へのBOB各駅停車の乗換駅に当たります。このインターラーケン東駅の平面構造が悪く、乗り換え時間が極めてタイトなため、乗客はスキー板やスノーボードを持って駅構内を走らなければ、乗り換え予定の電車には乗車できません。他にも、観光地ツェルマット方面から都市部ジュネーブやチューリッヒ方面への乗換駅であるフィスプ駅のホームは非常に狭いうえに、ジュネーブ方面とチューリッヒ方面の列車が同じホーム(隣り合った番線)に進入するため、特に日曜日の夕方など、IC特急やIR急行が遅れると、ホームから人があふれてしまいます。さらに、平日朝のベルン発チューリッヒ行きのIC特急や金曜日夜のチューリッヒ発ベルン行きのIC特急は、日本の通勤新幹線以上に混雑していて乗客は通路に立ったり階段に座ったり、二階建て車両を使っていても座席に座れません。このような、パターンダイヤとノード原理に基づいた時刻表が現実ではどのような問題を引き起こしているのか(つまり乖離)について本書では全く追求されておらず、その批判研究が不十分だとも考えられます。きつい言い方をすれば、本書の内容は、公式時刻表とウィキペディアがあれば書けてしまう内容でもあります。その割には、本書の中心的な内容である「鉄道2000計画」について言及がないのは「?」です。

初級者から中級者にレベルアップするための本としては良いのですが、もう少し踏み込んだ内容が書かれていないため、少々、もの足りません。したがって、星は3つとします。
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