江戸時代考証関係のものは、さすがに三田村鳶魚のものが膨大であり充実している。
しかし、いかんせん、あちらは旧かな使いであり、読みにくい。
稲垣「時代考証事典」等の一連の考証本もあるが、内容が充実しているものは写真やイラストがほとんどない。
本書は、林美一の考証本として最も充実した内容のものであり、適度な説明と適当な写真やイラストが用いられていて、非常に分かりやすいものである。
かなりのページ数であるが、事典としても、最初から通して読むのでも良い。
私は通して読んだが、ほとんど苦痛を感じることなく読むことが出来た。
また、本書で認識を新たにした事項も少なくない。
本書が類書と比べて優れているのは、適度なヴィシュアルを用いたその分かりやすさと、内容の充実度である。
ヴィジュアルを主体とした類書は大判であり、また価格も高い。
そういう類書と比較すると、写真やイラストがカラーでないのは残念だが、項目数や解説内容などを比べても全く遜色がないどころか、版型はハンディだし、使い勝手は大判書以上といって良い。
本書は間違いなくお勧めの考証本であり、本書の中身の濃さ、充実度は、時代考証に興味のあるひとだけではなく、時代小説や時代劇が好きなひとにとって、まさしく座右の書といえるだろう。