アントニオ・タブッキの小説は玄人受けする作品が多く、我々のような単なる小説ファンにとっては、読みこなすのは、結構苦労するところがある。この連作作品集も例外ではないけど、ただ、ここに収められた作品群は、少し前、子供の頃、はたまた学生時代、いやいやまだほんの少し前にニュース等で見聞きした決してハッピーエンドに終わらなかった数々の歴史的事実も含め、それらがその背景としてある分、少しばかりは身近に感じるものがある・・・・
狂気の時代を経験し、今や統一されてしまった東西ドイツ、ベルリンの壁、そんななかでの妻?恋人?の浮気!、ハンガリー動乱、ソビエトの崩壊、コソボ紛争、少し前、どこかの国の大統領も言っていた「戦争には良い戦争と、悪い戦争がある」という現代戦争論、ルーマニア系ユダヤ人はパレスティナ人の一種という皮肉、クレタ島行きエーゲ航空の機内誌に載っていた1945年広島の風景写真、原爆の光に映された死体の影、クメール・ルージュ、チリ・サンティアゴの1973年、ジェノヴァでの2001年7月の先進8か国サミット・・・・・・