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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
日本語文学の多様性を開く佳作,
By うわの空 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 時が滲む朝 (単行本)
「芥川賞を取るレベルの日本語ではない」という批判を聞いていたいので、どうかなと思いつつ読んだが立派なものだ。
変にくだけて、それを独創性だと勘違いしている昨今の作家に、見習ってもらいたいぐらいである。 中国的な匂いのする日本語である。 時に漢詩が入っていたりして、すごく新鮮だ。 「日本語を日本人のように使わなくてはいけない」という考えは、日本語の世界を狭くする。 日本人しか使わない言葉のままでいたら、日本語は衰退していくだろう。 言葉には絶えず新しい命を吹き込む必要がある。 日本語のアジア化を私は歓迎する。 作品自体は、ポストモダン化した日本人にはもう描けなくなった、瑞々しい青春小説である。 こういう小説は久し振りに読んだ。 懐かしいような泣きたいような気持ちになった。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
不帯走一片雲彩,
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レビュー対象商品: 時が滲む朝 (文春文庫) (ペーパーバック)
1988年、主人公の浩遠が、地方の大学に進学するところから物語が始まる。
寸暇を惜しんで勉強する大学生の生活は、華やかなりしバブルを享受していた日本のそれとは大きく隔たる。 学生たちは理想に燃えているからこそ、ゆっくりと学生運動に傾いていく。天安門事件を代表とする学生運動における、名もなき学生の失意。 彼らは官僚の汚職と腐敗に反対しただけだった。「国家興亡、匹夫有責」のスローガンのもと、愛国者であろうとしただけだった。 輝かしい青春時代から、やがて家庭を持ち、成熟した大人になるプロセスには、時代と国境を越えて感じるものがあるだろう。 孤独を胸に仕舞いながら、それでもたくましく生き抜いている人の姿に。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
それでも祖国を想う理想は大事ですけどね,
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レビュー対象商品: 時が滲む朝 (単行本)
『時が滲む朝』です。
北京オリンピック前に、中国人作家が初の芥川賞受賞ということで話題となった作品です。 天安門事件から北京五輪前夜までの、結構長い期間を、中国人青年主人公を通して描いています。 純粋な大学生が理想を追求して改革の情熱に燃えて、でも挫折して、そこからの転変、という題材は面白いと思います。 ただ、それを100枚強の中編で描くというのは無理があったような。あまりにも駆け足すぎて、時代背景や人物の描写などが薄まってしまったようです。だから場面、時代が飛び飛びです。 文章は……確かにところどころ日本語として微妙っぽいところもあったかもしれませんが、目くじら立てるかどうかは読者個人の好みの差にもよるでしょうか。 日本人だって、日本語を100パーセント正しく使いこなせるわけじゃないですし、ライトノベルあたりだと、ワナビに限らずプロであっても日本語が使えていない人だっているくらいですから。 ただ、天安門事件当時の大学生がどのようなことを考えていたのか、という部分に関しては、なかなか興味深かったです。もちろん小説ですからフィクションとしてデフォルメはされているのでしょうけど、案外シンプルな理想論で動いていたことに驚かされます。教科書の勉強は出来る秀才でも、情報の絶対量が少なかったためか、「そんな理想論、ちょっと考えれば行き詰まることぐらい分かるだろう」というツッコミを、現代日本人読者としては抱いてしまいます。でも日本の学生運動時代も、似たりよったりだったのかもしれませんけど。 理想は大事だけど、理想だけでもダメ。 あまりにも駆け足すぎて、小説としては微妙な面もありますが、改めて日本とか中国とか、国というものを考えるきっかけにはなるかもしれません。
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