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昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)
 
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昭和16年夏の敗戦 (中公文庫) [文庫]

猪瀬 直樹
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (31件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

緒戦、奇襲攻撃で勝利するが、国力の差から劣勢となり敗戦に至る…。日米開戦直前の夏、総力戦研究所の若手エリートたちがシミュレーションを重ねて出した戦争の経過は、実際とほぼ同じだった!知られざる実話をもとに日本が“無謀な戦争”に突入したプロセスを描き、意思決定のあるべき姿を示す。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

猪瀬 直樹
1946年長野県生まれ。83年に『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』『日本凡人伝』を上梓し、87年『ミカドの肖像』で第十八回大宅壮一ノンフィクション賞。『日本国の研究』で96年度文藝春秋読者賞。2002年、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。その戦いの軌跡は『道路の権力』『道路の決着』に詳しい。06年に東京工業大学特任教授、07年に東京都副知事に任命される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 283ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2010/06)
  • ISBN-10: 4122053307
  • ISBN-13: 978-4122053304
  • 発売日: 2010/06
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (31件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 5.0 国策を決定する人間が何を考えていたのか、時を超えて知ることができる, 2010/8/28
レビュー対象商品: 昭和16年夏の敗戦 (中公文庫) (文庫)
 石破茂氏が、予算委員会でこの本を紹介した。推薦書を聞かれると本書を挙げるというので、興味がわいた。
 昭和16年日本の空の下で、何が起きていたのか。鮮やかなブルーの表紙を目にすると、これから展開される話に対し、更に期待が高まった。

 描かれ方の緻密さに驚いた。徹底した取材、調査。例えば、どこにも記録されていないという東條英機陸相の発言が載せられている。総力戦研究所の研究生による「戦争に負けるというムード」の報告に対するコメントであり、「研究生それぞれの記憶の奥底にしまい込まれていたものを重ね、総合し、ほぼ正確に復元させたものである」。東條は、研究報告は机上の空論であり、戦というものは計画通りにいかない、しかし、「諸君は軽はずみに口外してはならぬ」と言い、狼狽していた。また、狼狽していた理由を、この報告が東條の考えている戦況と近いものであったからではないか、と研究生だった新聞記者の秋葉が感じていたことも示されている。
 また、昭和57年の取材時93歳だった元東條内閣企画院総裁鈴木貞一氏にも直接話を聞いている。「とにかく、僕は憂鬱だったんだよ。やるかやらんかといえば、もうやることに決まっていたようなものだった。やるためにつじつまを合わせるようになっていたんだ。僕の腹の中では戦をやるという気はないんだから」。資源課の高橋中尉が「みなが納得し合うために数字を並べたようなものだった」と述べている一文もある。
 国策を決定する人間が何を考えていたのか、多くの声を、時を超えて知ることができる。

 著者は、彼らの声を伝えるにとどまらず、それらを今に活かすメッセージを持つ。総力戦研究所の研究生は模擬内閣を組織され、真珠湾攻撃と原爆投下を除く現実の戦況とほぼ同様の結論を導く。その結論は、彼らが「タテ割り行政の閉鎖性をとりはらって集められた」偽りのない数字を使用し、真摯な討議を行った結果だ、としている。

 皆、戦いの前から日本が勝てないことを知っていた。それでも、つじつまを合わせる数字が並べられた。事実は、記録されなければ未来には残せない。本書は、当時のある一点の声を徹底的に残す貴重な資料であると共に、あらゆる局面において、正しい方向を定めるために重要な決定方法を示す必読の一冊である。
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84 人中、78人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 文庫になって久しぶりに再読できました, 2010/6/30
レビュー対象商品: 昭和16年夏の敗戦 (中公文庫) (文庫)
本書が読みやすい文庫として再び世に出たことを、うれしく思います。

思い起こせば、小学生のころに見たテレビドラマの原作が本書だったことを知ったのが
大学生の時。

戦前の日本が、国際情勢や、国力の違い、所有している資源のストックなどを把握でき
ない状態でむやみやたらに開戦へと突き進んだわけではなく。ある程度以上の層は現状
を程度の差こそあれ把握していたという事実や、国家主導で総力戦研究所という組織に
優秀な人材を集めて、世界情勢の推移をシミュレーションをさせていたという点は非常
に興味をそそられました。

時どき思い出したかのように戦艦大和の乗組員や、特攻隊の隊員、空襲被害の市民がで
てくるTVドラマや映画を作成して戦争の記憶を風化させないのももちろん大切だとは
思いますが、このような、国の舵取りをした側の視点から作成された作品を映像化して
、後世につないでいくこともまた必要なのではないでしょうか。

さらに興味のある方は、国立国会図書館のサイトから、総力戦研究所設置ニ関スル件な
どの国会での閣議決定文書などを読むことができます。
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58 人中、54人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 なぜ日本人はアメリカと戦争したのか, 2010/8/16
レビュー対象商品: 昭和16年夏の敗戦 (中公文庫) (文庫)
 ずっと不思議でした。冷静に考えれば軍事力も資源量も圧倒的に劣る日本がアメリカと戦争して勝てるわけがないじゃない。なのになぜ日本はアメリカと開戦したんだろう?と。
 教科書をが教えてくれなかったそんな疑問に、この本が答えてくれたような気がします。

 昭和16年夏、「総力戦研究所」は一つの結論に達します。

「十二月中旬、奇襲作戦を敢行し、成功しても緒戦の勝利は見込まれるが、しかし、物量において劣悪な日本の勝機は無い。戦争は長期戦になり、終局ソ連参戦を迎え、日本は敗れる。だからなんとしてでも避けねばならない」
 
「総力戦研究所」は「最良にして最も聡明な逸材」として軍人、文官、民間人から横断的に招集された36名の若手エリートが、「日米もし戦わば」という命題のもとシミュレーションを行った組織です。国際情勢や日米の石油の備蓄量など現実に即したデータを用い、縦割ではなく横断的な組織ならではのしがらみのない客観的な分析によって数ヶ月をかけて導きだされた結論は日本必敗。それはそのまま、当時の近衛内閣に報告されます。

 総力戦研究所の報告は実際の歴史とすりあわせてみると、驚くほどに正確なシミュレーションです。
 もしこの警告が活かされていれば、と思わずにはいられません。
 けれど政府は、彼らの警告を黙殺してしまった。それはなぜか。

 本書には日本が敗戦必至の「無謀な戦争」に突入したプロセスがとても詳細かつ丁寧に描かれています。「軍部の独走」というお決まりの単語ではとても説明のつかない当時の状況を知るには最適な一冊でしょう。
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