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昭和幻燈館 (中公文庫)
 
 

昭和幻燈館 (中公文庫) [文庫]

久世 光彦
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ひとりだけのスクリーンに映し出す暗い幻影、ひそやかな追憶―。第二次世界大戦末期に少年期を過ごした著者が、記憶の回廊のなかで反芻する建築、映画、文学など、偏愛してやまない、憂いにみちた昭和文化の陰翳を、透徹した美意識で記す。

登録情報

  • 文庫: 272ページ
  • 出版社: 中央公論社 (1992/08)
  • ISBN-10: 4122019230
  • ISBN-13: 978-4122019232
  • 発売日: 1992/08
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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By Sebastian Flyte トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
本書には著者が昭和初期の子供時代から偏愛してきた文学・映画などについて綴った文章が収められている。どの文章にも艶があり、間然するところがない。実のところ、テレビ番組のディレクターという通俗的なイメージしか私は久世光彦に対して持っていなかったため、これほど上手い文章を書く作家だったとはこれまで知らずにいたのだ。自分の迂闊なアンテナを恥じた次第。

久世光彦は言葉にとことんまで拘る作家だった。このことに関して、「解説」で川本三郎はこう説明している。

《ぎりぎりのところで、久世光彦を、そうした平俗さから救っているのは、言葉、日本語に対するストイックなまでのこだわりである。久世光彦には、感じに対する、マニアックなまでの愛着がある。その言葉への感受性が、久世光彦を、異端という名の凡庸からへだてている。》

例えば、「鉄路のほとり」では久坂葉子の名前にある「葉」の字に対し「頑迷な浪漫主義」を感じ、「朧絵師の死」では「熄」という漢字に対して鮮やかな想像力を掻き立ててくれ、そして「女の紅差し指」では向田邦子がかつて好んで使った古い日本語が次第に失なわれていく現状を憂える。この3篇は特にすばらしかった。

また、「人攫いの午後 ヴィスコンティの男たち」や「消えた狂女たち 保名狂乱」からは、今ではすでに失われてしまった街の風景が淡い靄の中で描かれている。戦後間もない昭和の雰囲気が匂い立ってくるようだった。
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