本書は原氏の試論です。仮説は面白いので、どんな論理展開がされるか期待したのですが、証明する根拠の提示はいまいちでした。「〜であろう」「〜かもしれない」「〜可能性は否定できない」という結語が多すぎるので読み進めるとイライラします。ある政治漫画家が本書の内容や原氏のことを散々非難してますが、祭祀の本質に関する意見の相違以前に、「ちゃんと証明してください」と文句を言いたくなる気持ちもわかります。
ただし、「二・二六事件における天皇」「1970年新嘗祭と三島事件」など、原氏の仮説は十分興味深いです。しかしその内容でも、「昭和天皇」という書名は、よく言えば気宇壮大、悪く言えば夜郎自大なので、最初に「本書は試論である」と十分断ってくれないと筋道が通りませんね。