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昭和天皇(上)
 
 

昭和天皇(上) [単行本]

ハーバート・ビックス , 吉田 裕
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (24件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

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アメリカ人歴史学者のハーバート・ビックスが、10年の歳月をかけて書き上げた長大な「天皇ヒロヒト」伝である。昭和天皇について書くということは、祖父・明治天皇のもとで西洋型近代国家となった日本が、軍事大国を妄想したあげくに崩壊していく過程を描くことにほかならない。その意味で、本書は初めて英語で記述された緻密な日本近現代史と言うことができる。

「本書の主な関心は、国家の元首および軍の最高指揮官としての彼の名で、その積極的な指揮のもとで行われた戦争の道義的、政治的、法的な説明責任を、天皇が公的に認めずに済んだ点にある」。著者は「ヒロヒト」執筆の動機をこう説明する。つまり東京裁判で免れた昭和天皇の「戦争責任」を改めて問い直そうというのである。そのためにビックスは1500余点にのぼる膨大な文献資料を集め、それを「証拠」として「独裁的天皇制の枠組みにおける単なる御輿であり、軍部の操り人形にすぎなかった」という従来の定説を否定している。

確かに、満州事変から大平洋戦争にいたるいわゆる「十五年戦争」の政策決定プロセスで、国際協調を配慮しながら軍部の拡大政策に引きずられていく天皇の苦悩を生々しく描き出してはいる。しかし、けっきょくは「日本が国外で行ったことに対して、どんな個人的責任も自覚せず、13年11カ月にわたって多くの人命を奪った侵略戦争の罪を1度として認めなかった」という天皇像を導き出している。その前提は「十五年戦争」をパリ不戦条約(ケロッグ・ブリアン条約)に違反した「侵略戦争」と断じた東京裁判判決と軌を一にしているようにみえる。

「満蒙は日本の生命線」といった松岡洋右や「戦争の原因は領土、資源の不公平な分配」とする近衛文磨の考えを、ビックスはいとも明快に「誇大妄想のナショナリズム」「誇張された利己的な国際情勢の解釈」と決めつけている。そして、戦争原因を「領土拡大と戦争への情熱にとらわれていった天皇」に求めるのだが、「列強は人種的な対立につき動かされており、日本がアジアにおける有力な国家として台頭することを望んでいない」という近衛の言葉(論文「世界の現状を改造せよ」)と、それを信じた天皇の国際情勢認識を被害妄想として片づけるほど、あの戦争は単純なものだったのだろうか。そんな疑問が残るのである。(伊藤延司)

出版社/著者からの内容紹介

君主としての人間形成過程を克明に描く
初めて解明された昭和天皇像
<2001年ピュリッツァー賞受賞>

明治天皇を範とする幼少時の教育、大元帥になるための軍事教育を通して人格はどのように形成されたのか。神格化されたベールの下の人間像とともに、病弱の父・大正天皇の摂政を経て即位、日中戦争のなかで政治的君主に変貌していく過程を克明に描く昭和天皇研究の一大金字塔。

登録情報

  • 単行本: 348ページ
  • 出版社: 講談社 (2002/7/31)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 406210590X
  • ISBN-13: 978-4062105903
  • 発売日: 2002/7/31
  • 商品の寸法: 21.2 x 15 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (24件のカスタマーレビュー)
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Emperor Meiji's first grandson was born on April 29,1901, within the Aovama Palace in Tokyo. 最初のページを読む
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最も参考になったカスタマーレビュー
128 人中、89人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By arabia
形式:単行本
伊藤延司氏がレビューにおいて述べているように、東京裁判判決と結論をほぼ一にする内容です。膨大な資料を「ふるい」にかけ、エッセンスを抽出し、それらを考察し、論文として再構築していく作業は細密であり、資料としては十分読み応えのある文献でした。しかしながら、目新しいい視点や事柄はほとんど無く、ただ、詳しいだけという印象は否めません。

そして、何よりエッセンスを抽出するための「ふるい」が、あまりにも偏っているように感じました。はじめに結論ありきで、それを導き出すために有用な物証のみを(故意に)選んでいる。そんな気がします。そう考えると、(彼が故意に選んだ)事実を考察し、論文として再構築していく作業が細密であることは、まあ、当然といえます。

この本を資料として活用することは有効であると思います。しかし、この本をもって、この時代を理解しようとするのは、少々不十分(あるいは誤解を生む)であろうと思います。

このレビューは参考になりましたか?
29 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By picander トップ500レビュアー
形式:単行本
著者の資料の精査は素晴らしい努力の成果ですが、一面的な歴史解釈をしているのは紛れもない事実です。ある一つの結論のための強引な資料の取捨選択と精査がなされており、読者はあくまで仮説の一つとして取り組む必要があります。

昭和天皇が終始徹底して非戦論を唱えていた、ということではないですが、ある時期に積極的に戦争回避の努力をしたことは、資料もあり史実としても明白なのですが、それには資料も含めてほとんど触れられていません(宇垣一成内閣流産など)。

そのように限りなく一面的な歴史観に基づく著作であるものの、こういった外国人研究家の昭和史理解を一面的である、と批判しても意味のある議論ではないでしょう。そうではない外国の日本研究家など、一握りもいないのですから。その意味ではドナルド・キーンの『明治天皇』も、逆の意味で一面的です。

どちらかと言えば、こういう本が出ることは、いろんな立場で歓迎すべきだと思います。まず、同じ立場の日本の歴史学者の突っ込みの弱さが明白になり(ほとんどが昭和天皇は「戦争を止められない弱い君主」的な仮説でしかなかった)、同時に昭和天皇の人間性の、一筋縄ではいかない複雑さ、すなわち昭和という時代の多面性、重層性が今になってまた浮き彫りになってきています。
本書を批判する前に、日本の学会・メディアの状況を嘆くべきです。こういう著作が欧米人に書かれ、大作として話題になっていることが、まだ日本人が自らの手で昭和に決着をつけなかったことの帰結でしかないからです。
今必要なのは、本書への批判ではなく、本書を乗り越える日本人の覚悟ではないでしょうか。

このレビューは参考になりましたか?
162 人中、107人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:ペーパーバック
この本、出版当初から欧米の主要メディアで昭和天皇の戦争に対する関与振りについて衝撃的内容の本であると紹介されたので、急いで取り寄せました。僕自身、とても関心のあるテーマだからです。が、読んでみると、そこで新たな史実が明らかにされたわけでもなく、著者の論理は根拠薄弱、推測に推測を重ねた内容じゃないのというのが僕の印象です。そもそも、著者は昭和天皇が戦争遂行に深く関与していたと最初から確信していて、本の中では、史実を客観的に証明するのではなく、自分の主張にうまく沿うように物事を解釈して並べてたてているだけのようです。確かイギリスのDaily Telegraphという新聞だったと思いますが、僕の印象と同じように、ある読者から、この本にはapparentlyとかit seemsとか推測表現が目立ち、論理性に疑問があるとの投稿が寄せられていました。エンターテインメントとしてならともかく、学者の知的良心に基づく仕事なのか、大いに疑問です。なお、巻末の引用文献は特に目新しいものはありませんが、引用文献の出版社に思想的な偏りが目立つのも気になります。

 以上のように、僕はこの本に対して否定的な意見を持っているのですが、結局、この本はピューリッツア賞を受賞。ピューリッツア賞ってこの程度のものなのかとがっかりしました。批評家の方はほんとにきちんとこの本を読んだのか、それとも僕の読み方が足りないのか、他の読者の御意見を教えて下さい。

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投稿日: 2007/12/26 投稿者: DJ LINDSAY
日本人の覚悟が問われている
著者の資料の精査は素晴らしい努力であり、同じスタンスに立つ日本の歴史学者は、本書のような著作をあらわせなかったことを、恥じ入るべきでしょう。... 続きを読む
投稿日: 2004/5/25 投稿者: picander
必読の書。賛否はまず読んでから。
本書に対するさまざまな見方が存在することは知っていますが、今の日本では一面的になりがちな昭和天皇像を別の視点から見ており、とても新鮮です。さまざまな批評に踊らされ... 続きを読む
投稿日: 2003/7/14 投稿者: 竹内正浩
自己正当化の好きな欺瞞的なアメリカか、それとも不正廃絶を熱望する真摯なアメリカか
1... 続きを読む
投稿日: 2003/2/25
必読の書。
やっと翻訳本がでました。アメリカで、ピュツァー賞を受賞した話題作です。
海外の目からみた戦後の日本、天皇制、主観を入れず淡々と記している... 続きを読む
投稿日: 2003/1/6 投稿者: "katoakiko"
紛らわしい配置、紛らわしい購買層
o-a§"¬-°o3... 続きを読む
投稿日: 2002/11/12 投稿者: 総統(-o-)/
好著です。
§3 ̄--'±-aè¿'... 続きを読む
投稿日: 2002/11/1 投稿者: "sleeping-cat"
無星、いやマイナス5星ってとこ!!
... 続きを読む
投稿日: 2002/9/14 投稿者: クリオはどこに?
色眼鏡なしに
天皇に関しての本は、色眼鏡でみられることが多いのですが、外国人の視点からの本は比較的冷静な視点なのでおもしろく読めます。... 続きを読む
投稿日: 2002/8/30 投稿者: yass
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