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昭和天皇はおそばやおいもなどが好きだったとか、魚はいわしやさんまを好まれたとか、予算の関係で松茸などの高価な食材は買えないとか、これなら庶民の方がよっぽどよいものを食べているのでは…と思えるような記述も随所に見られ、いろいろ意外な感じがしました。
園遊会の屋台も大膳の職員の仕事で、天皇陛下から直接天ぷらのオーダーを受けてあがってしまった話や、甘いものを控えねば…と思いながらも「お汁粉をいただきたいけど、だめかしらね?」とニコニコ皇后陛下が話しかけられる話など、昭和天皇のお人柄を敬愛し、この人一代のための料理人であろうとした筆者の筆が、食を通していろいろなエピソードを丁寧に描いています。
いずれにせよ、天皇家(皇族)の方々が普段どのようなお食事をなされているのか、われわれ一般庶民と何か違いがあるのか、皇族のしきたりや伝統はといったことを「食」を通じて、一瞬でも垣間見て存じ上げることができます。
そんな中で、側面的に、食の原点にかえった、より自然なもの、より無添加のもの、有機栽培のものが健康に一番よいのだ、なによりの贅沢なのだということをリアルにもの語ってくれています。
間接的には、この本の中で、陛下とそれに仕える料理番という関係の中で、今では加速的な経済と文化の成長、アメリカナイズ化の中におかれた日常生活のあわただしさというところで、つい忘れがちとなってしまう「気配り」「思いやり」といった昔ながらの日本人がもつ「日本のこころ」というものを改めて感じることができます。
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