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昭和天皇と戦争の世紀 (天皇の歴史)
 
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昭和天皇と戦争の世紀 (天皇の歴史) [単行本]

加藤 陽子
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

三度焦土に立つ運命に生きた天皇の20世紀皇太子時代に第一次大戦の戦場を訪れ、摂政として関東大震災の被害を視察、東京大空襲の焦土にも立つ。総力戦の悲劇を知りながら開戦した背景と戦後の退位論とは

内容(「BOOK」データベースより)

二十世紀幕開け、明治天皇の初皇孫として誕生した迪宮裕仁。生涯に三度焦土に立つことになる近代立憲制下の天皇は、激動の時代にあっていかなる役割を担うことになったのか。伊藤博文が制度化に尽力した君主の無答責性は、大正デモクラシーや軍の政治化により変容を迫られる。動揺する国際情勢のなか七千万同胞の中心として歴史の「動力」となった昭和天皇と時代の特質を究明する。

登録情報

  • 単行本: 430ページ
  • 出版社: 講談社 (2011/8/26)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062807386
  • ISBN-13: 978-4062807388
  • 発売日: 2011/8/26
  • 商品の寸法: 19.8 x 14.1 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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Amazonが確認した購入
 本書の眼目は、大日本帝国憲法に「天皇は神聖にして侵すべからず」の条項が置かれたのは、天皇を政治的立場に置いてはならないという”明治体制の知恵”によるものであったのに、天皇機関説や統帥権干犯問題をめぐって引き起こされた議論によって、当時の国粋イデオロギーの信奉者たちは、天皇の絶対性を強調し天皇親政を求めるあまり、むしろ天皇から無答責性をはく奪してしまい天皇を「政治的存在」にしてしまった、という論旨を緻密な論証を積み上げながら述べたくだりだろう。

 そして昭和天皇自身も、天皇は”神聖な存在”として政治を超越し距離を取った立場にいなくてはならないという、明治体制の指向した立憲君主像を自らのあるべき姿として目指していたにもかかわらず、対中国政策を巡っての軍部の暴走を苦々しく思うあまり、”統帥権の独立理論”を逆手にとって軍部の行動を直接制御しようという言動をとるようになり、やがてそれは”終戦の聖断”につながったというのが著者の展開する論旨だ。

 更に本書を迫力あらしめているのは、そのような”誤った天皇の神聖化”思想は、具体的な政治や軍事の場よりも、むしろ国民の教育の場で徹底して布教されてゆき、その結果、日本国民が一種の洗脳現象に陥ってしまい、結局は亡国への道を転げ落ちることから逃れられず、最後の救済が、立憲君主像ではない絶対的神聖像としての天皇が下した聖断によるほかはなかったと指摘していることだろう。

 昭和前期の日本はひと口に「暗い時代」と呼ばれることが多いが、その暗い時代が”廃墟のなかの聖断”によって終止符が打たれるまでにどれほどの苦悩とディレンマの道を歩んだかを、昭和天皇の立ち位置に寄り添って考察して見せた本書は、抜群の歴史書といってよいだろう。
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By ib_pata VINE™ メンバー
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 昭和天皇とその時代を概観するのに、ヨーロッパ歴訪時代の第一次大戦で荒廃した各国の焦土、関東大震災によって焼き尽くされた帝都東京の焦土、第二次大戦時の米軍による爆撃で焦土となった日本全土という三つの焦土に立った人、として描き始めるのが印象的。皇太子時代のヨーロッパ歴訪では、ジョージ五世に英国軍が奮戦したベルギーのイーブルを訪れるよう勧められるのですが、砲弾によって森林枯滅となった戦場に立ちます。そうなると各国とも自軍が奮戦した激戦地を見せるようになり、ヴェルダン、ソンムなどの戦跡をめぐる旅が続き、その時の模様は「東宮御渡欧映画」として日本国民も見ることになります。もちろん、そのときは総力戦の威力を自ら知ることになるとは思っていなかったでしょうが…。その後、昭和天皇は関東大震災の時には馬で、第二次大戦の敗戦直前にはクルマで焦土を視察したほか、戦後の巡幸では広島なども訪れることになります。

 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』では熱河作戦によって国際連盟を脱退せざるを得なくなることを知った昭和天皇が、なんとか作戦の裁可を取り消そうと試みたあたりが印象的に描かれていましたが、この『昭和天皇と戦争の世紀』では、僅か二個師団の日本軍によって31万人の中国兵を敗退させたことで塘沽停戦協定締結となったことは一時的には大きな成功をもたらした、とします。《自ら連盟脱退を通告した日本は、除名や経済制裁という不名誉を蒙ることなく、また、中国との新たな関係打開の端緒をも、結果的につかむことになった。熱河作戦をめぐる政府と軍部の経験は、成功体験として、軍の強硬路線を勢いづけた》という(p.235)。マリアナ沖海戦で大敗し、制海・制空権を失った日本が本土爆撃をされるままの状態になってもなお降伏しない日本に原爆まで落としたのは、アメリカに、第一次大戦のような交渉による平和では、第二のヒトラーを生み出してしまう、という懸念が強かったというあたりは悲痛。
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 政治と天皇の距離の変遷を中心に、大東亜戦争へ至る
道程を冷静に記述している。出来るだけ脱線しないように
簡潔に書かれており、有用な書である。

 途中、例えば軍令部とはなにか参謀本部とは何かといった
こと、西園寺公望はどういう人物か山県有朋はどういう人物
かといったことは知っていることが前提とされているので、
類書を多少は読んでいるべきだとは思う。

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 なお、二三五頁、「胡適」のふりがなは「こてき」となって
いるが、人名としては「こせき」が正しい。
 一方、一六六頁には、「馮玉祥」のふりがなが「ふうぎょくしょう」
となっており、これを「ひょうぎょくしょう」としていないのは
正しい。

 適も馮も一般名詞に用いられる場合と人名に用いられる場合
で音読みが異なる字である。

 この点の議論は高島俊男「お言葉ですが 別巻3」に詳しい。
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